《お知らせ》 今回からこの連載を少々模様替えします。一巡を5人はそのままにゲストライターを迎えます。日本語方言研究でよく知られている方々です。また,公開が隔週土曜日(2週に1回)になります。よろしくお願いします。
さて,方言を,パッケージや個別包装の袋,または,菓子本体にプリントして示した例は,これまで28回紹介しました。最近のものから,295・287・285・276・260・249・248・243・212・209・191・158・134・120・110・104・97・96・80・76・67・57・56・52・20・16・7・5・の各回です(リンクは末尾で)。この28回を含めて食品の方言ネーミング(飲食物関連の方言メッセージや飲食店の例は入りません)は,計63回です。
菓子での方言の扱われ方は,第52回「お菓子のバーチャル方言博物館」,第76回「出雲弁」,第248回「方言名のお菓子の全国展開」を例に理解できます。多くは菓子の内容に有機的関係はみられません。その地方の代表的方言によるネーミングもしくは列挙です。最近では「秋田弁」がユニークです【写真1】。美味であることや品の良いことを謳うネーミングは,食品なので当然だと言えます。味や特徴の修飾として「とても」の意味の方言(「いぎなり」や「めっさ」など)も菓子の状況と直接関係ある表現とは言えないでしょう。
ネーミングの方言がその菓子(の状況を)的確に示した例=意味のある方言菓子もあります。私の住む岩手県でも,昨年末,新発売されました。その名は「pecco」(ぺっこ)です【写真2】。「ぺっこ」とは,岩手県の中央部や沿岸部で広く使われている方言です。「少し」「わずか」という意味です。少しずつの包装で,これを,少し購入してもいいですし,お客の注文に応じて詰め合わせにもしていただけます【写真2→クリック】。南部せんべいやかりんとうなど,岩手県のお菓子全30種類が用意されました。「pecco」は,初めての岩手県のプライベートブランドであり,県の施設でも販売されています。少しずつと県のプライベートブランドという点では,第158回「OITA AGURU」(大分県:差し上げるの意)も趣旨の通じる例です。
なお,菓子ではありませんが,第1回の「岩手の酒っこ ひゃっこぐしておあげんせ」(岩手県花巻市石鳥谷町)も,意味のある方言ネーミングの代表例です。
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第295回 まだまだあります、埼玉方言グッズ「方言銘菓 そうなん娘」
第287回 中国語の新しい方言 “QQ”―ドライフルーツとヨーグルト―
第285回 方言と外国語で感謝――大手企業の言語戦略――
第276回 東北弁ならではの英語とのコラボ,ほか
第260回 方言の継承を銘菓に託して(長野県千曲市)
第249回 「よかっぺ号」が関西へ
第248回 方言名のお菓子の全国展開
第243回 青森の方言名のお菓子
第212回 方言ういろの全種類入手法
第209回 なりすましの方言「めっちゃんこ」
第191回 大阪弁の薬
第158回 大分のおみやげ「AGURU」~味の現物カタログ~
第134回 おいしい方言(奈良県)
第120回 山形県にオランダが!
第110回 「おまんた」は不滅です(新潟県糸魚川市)
第104回 おいしい方言(山形県)
第97回 ハワイで見た日本語方言
第96回 ワンポイント方言メッセージ
第80回 北信濃方言に親しめるお店
第76回 出雲弁
第67回 世界唯一の方言チョコレート―リトアニアの方言区画
第57回 究極の方言みやげ保存法
第56回 方言付きの食品
第52回 お菓子のバーチャル方言博物館
第20回 方言によることばあそび
第16回 「おらほ」
第7回 辞書にない方言「おくしょい」の値打ち
第5回 信州人の好きなことば―「ずく」をめぐって―