[意味]
収入減や将来的不安などの理由により、消費者が支出を減らす行動に向かうこと。
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2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、世界経済が大打撃を受けた1年でした。国内企業の冬のボーナスが4社に1社で前年比2桁減になったという報道もあり、収入減に直面し先行きに不安などがあると、われわれは消費支出を抑える「節約志向」になってしまいます。日銀が12月下旬に発表した7~9月期の資金循環統計(速報)によると、家計の現預金残高が1034兆円と過去最高を更新。国民1人あたり10万円の特別定額給付金の使い道も4割が「貯金」だったという調査結果もありました。先行き不安に対し、現金を手元に残しておきたいという意識が強く働くようです。
記事データベース「日経テレコン」を使い、日本経済新聞で「節約志向」が出現した記事件数を年ごとに追っていくと、1980年代後半のバブル経済期にはほとんど見られませんでした。それがバブル崩壊で少しずつ顔を出し始め、2008年のリーマン・ショックのころから急増。2009年の975件をピークに、それ以降はすっかり紙面に定着してしまいました。コロナ禍の2020年は115件となっています。
「Go To トラベル」や「Go To イート」といった施策で、景気も一時は回復の勢いがあったものの、冬場のコロナ感染者の増加で一気にしぼんでしまった感があります。そんななか、昨年暮れから欧米などでワクチン接種が始まったという明るい兆しのニュースが出てきました。経済協力開発機構(OECD)が12月初めに発表した経済見通しでは、ワクチンの普及などで2021年末までに世界経済が「コロナ前」の水準に戻るとされています。
1月に入り国内では感染拡大で緊急事態宣言が出た地域があります。先行きの見通しはなかなかつきませんが、今年は新聞記事に登場する「節約志向」の件数が確実に減ることを切に望みます。
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新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。