[意味]
新卒で企業に就職して数年程度で転職する人。求人や転職に関連して用いられる。(大辞林第四版から)
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最近、目に留まったのが「第二新卒」。私が就職したころに使われ始めた語で、今ではすっかり定着したのだなと感慨のような思いがあります。雇用の流動化で、企業がこの若い世代を積極的に採用しているのが、紙面から見て取れます。
「第二新卒」はバブル経済期に就職情報誌の編集者が造語したとされ、日本経済新聞での初出例は、1990年4月16日付朝刊の「新入社員さっさと退職 石の上には半年」という記事でした。そこには「第二新卒とは、大学を卒業後入った会社を一年以内に飛び出す新米社会人を指す」とあり、当時の定義は「数年」ではなく「1年以内」の転職だったようです。
記事データベースで「第二新卒」の出現記事件数を見ていくと1990年の3件から1991~1992年に27件と跳ね上がり、好景気で企業の採用意欲が強かったことがうかがえます。それが就職氷河期の始まる1993年から件数が1桁台と激減。景気回復局面の2004~2008年は、それまで採用抑制をした反動で世代の空白を埋めるための「第二新卒」需要が旺盛になったと見られます。国語辞典に登場するのもちょうどこの時期で、大辞林が第三版(2006年)、三省堂国語辞典は第六版(2008年)から掲載しました。リーマン・ショックの影響もあってか、2009年から再び1桁に戻りましたが、2016年以降はやや上向き傾向になっています。バブル期から約30年、「第二新卒」は好不況の波を受け続けた語だといえそうです。
私は1989年4月に新卒で金融機関に入り、1990年3月に退職。4月から校閲記者の道を歩み始めました。現在勤める会社はそれまで新卒一括採用だったのが、この年から既卒者でも受けられるようになったもので、何だか「第二新卒」1期生のような気もしてきます。
昨年12月、専修大学で講義を終えた後に構内のカフェに寄ると、近くの席に見覚えのある人がいました。マスク着用のためはっきり分かりませんでしたが、元勤務先の支店長に似ていました。専修大学出身だと聞いていたので、ひょっとしたら本人だったかもしれませんが、30年もたっていますし……声をかけられず。まだまだ新卒一括採用・終身雇用が当たり前だった当時の者としては、不義理をした後ろめたさのようなものがあって、ためらってしまったのです。
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新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。