[意味]
冷凍庫に冷凍保存し、食べるときに出して調理できるように加工した食品類。
(大辞林第四版から)
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8月末、冷凍食品に特化した専門売り場の開設が続きました。イオンリテールが30日に千葉県浦安市に国内最大級の約1500品目を取りそろえた新業態「@FROZEN」を開業。31日には松屋銀座が店内に直営売り場を設け、銀座の老舗レストランや洋菓子店などが開発した350種類の食品を販売しています。
これら2店に限らず、街のスーパーやコンビニでも専用の冷凍ケースが増設されるなど、私たちの生活に冷凍食品は広く深く浸透しているのが分かります。日本冷凍食品協会によると、2021年の家庭用冷凍食品の国内生産数量と出荷額は共に業務用を上回り、1970年の調査開始以来で過去最高になりました。共働きの一般化による家事負担の軽減ニーズや、コロナ下で食事を自宅で楽しもうという層が増加。手軽さに加え、味の良さでも支持されているようです。
日本経済新聞での「冷凍食品」の出現記事件数は例年200件前後で推移するなか、グラフには大小2つの山が見られます。大きな山は2008年で700件超と突出。これは輸入冷凍ギョーザから農薬が検出されるなど食の安全を脅かす事件が相次いだ“例外の年”でした。2014年の300件超になった小さな山は、円安による原材料費の高騰で冷凍食品に値上げの動きが広がった時期に当たります。急激な円安が進む今年も、出現記事件数が増えるのか気になるところです。
国内での冷凍食品の始まりは1920年。100年以上の歴史があり、決して新語でも流行語でもありませんが、「冷凍食品」は新聞にほぼ安定して出現し続けます。冷凍技術の進歩と歩調を合わせ、言葉も鮮度を保っています。
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新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。