[意味]
災害が起きた際、避難所へ避難せずに自宅などで生活を続けること。
[関連]
分散避難
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災害時、主に自宅など避難所以外で生活することを「在宅避難」といいます。安全を確認したうえで自宅にとどまったり、親類宅などに身を寄せたりするなど形はさまざまですが、家屋の損壊やインフラが停止するようなことがあれば、避難所と同様に生活支援が欠かせなくなります。
「在宅避難」をよく目にするようになったのは、コロナ禍以降でしょうか。ビジネスデータベースサービス「日経テレコン」で調べたところ、日本経済新聞での初出例は2008年4月24日付朝刊の新潟経済面「自宅2階安全な場合も 洪水避難地図 長岡市が改定」という記事。豪雨による水害が起きた際に自宅の2階へ避難することを「在宅避難」としていました。「自宅に避難する」のではなく、「自宅で難を避ける」意味といえます。
新聞記事での出現数はその後しばらく0件が続きますが、東日本大震災の2011年ごろからポツポツと見え始め、2020年に12件と急増。台風や豪雨が頻発し避難を余儀なくされるケースが増えるなか、避難所に大勢の人が集まり3密(密閉・密集・密接)状態になるのを避けるため、「在宅避難」など人が分散して避難する動きが見られるようになってきました。
単に自宅にとどまることが「在宅避難」ではありません。災害発生後、まず自宅が安全な状態であることが必須になります。日ごろからハザードマップ(災害予測地図)の確認や食料や水の確保、簡易トイレなどの備えも重要です。「在宅避難」をするには、孤立しないよう地域の人たちと連携をとるのも大事なことだと思います。
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新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。