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第49回【老老介護】ろうろうかいご

筆者:
2023年9月25日

[意味]

高齢者が高齢者を介護すること。多くの場合、自分自身高齢化した子が、より高齢化した親を介護することをいう。(大辞林第四版から)

[関連]

認認介護

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高齢者が高齢者を介護する「老老介護」の割合が増えています。2022年の厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、65歳以上の高齢者と同居して介護する人の63.5%が同じ65歳以上の高齢者であることが分かりました。「老老介護」の調査は3年に1回実施されているもので、6割を超えたのは2001年に調査を開始して以来、初めてのことです。

介護する側もされる側も75歳以上という後期高齢者同士の割合も35.7%にのぼりました。2025年には人口規模が最も大きい「団塊世代」(1947~1949年生まれ)が後期高齢者となることから、「老老介護」の割合がさらに高まると見られています。

ビジネスデータサービス「日経テレコン」で検索したところ、日本経済新聞での「老老介護(老々介護)」の初出例は、1996年3月17日付朝刊の「公的介護保険を考える③ 過疎町村はもう待てない」という記事でした。全国町村会副会長の横山万蔵氏へのインタビューで「90歳の親を70歳の娘が介護するような『老老介護』が増えてゆく」とありました。その20年後の2016年に「老老介護」の出現記事件数は最多となり、団塊世代のすべてが65歳以上になった時期とほぼ重なります。

介護する側、受ける側のいずれも認知症の「認認介護」も社会問題化。厚生労働省による委託調査によると、「老老介護」に関し市区町村の77.3%が「介護する家族自身も認知症などで支援が必要」と感じているとのことでした。もはや家庭内では支えきれません。高齢化と少子化が進むなか、介護人材の確保と制度の拡充が急務となっています。

「老老介護」の出現記事件数

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新四字熟語の「新」には、「故事が由来ではない」「新聞記事に見られる」「新しい意味を持った」という意味を込めています。

筆者プロフィール

小林 肇 ( こばやし・はじめ)

日本経済新聞社 用語幹事・専修大学協力講座講師。1990年、日本経済新聞社に入社。日経電子版コラム「ことばオンライン」、日経ビジネススクール オンライン講座「ビジネス文章力養成講座」などを担当。著書に『マスコミ用語担当者がつくった 使える! 用字用語辞典』(共著、三省堂)、『謎だらけの日本語』『日本語ふしぎ探検』(共著、日経プレミアシリーズ)、『文章と文体』(共著、朝倉書店)、『日本語大事典』(項目執筆、朝倉書店)、『大辞林 第四版』(編集協力、三省堂)などがある。日本漢字能力検定協会ウェブサイト『漢字カフェ』で、コラム「新聞漢字あれこれ」を連載中。

編集部から

四字熟語と言えば、故事ことわざや格言の類で、日本語の中でも特別の存在感があります。ところが、それらの伝統的な四字熟語とは違って、気づかない四字熟語が盛んに使われています。本コラムでは、日々、新聞のことばを観察し続けている日本経済新聞社用語幹事で、『大辞林第四版』編集協力者の小林肇さんが、それらの四字熟語、いわば「新四字熟語」をつまみ上げ、解説してくれます。どうぞ、新四字熟語の世界をお楽しみください。

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