『三省堂国語辞典』のすすめ その82
2009年 8月 26日 水曜日 筆者: 飯間 浩明「道の駅」から連想する場所は…。

【道の駅 八王子滝山】
『三省堂国語辞典』の語釈の末尾に、しばしば「⇒:」(白抜き矢印にコロン)の記号がついています。単に「⇒」だけならば、「説明をすべて以下の項目に譲る」という印ですが、「⇒:」は、「以下の項目も参考に見てください」という印です。
たとえば、「盲導犬」ということばを引くと、説明の末尾に〈⇒:補助犬。〉とあります。補助犬は、盲導犬・介助犬・聴導犬をまとめて言うことばで、今回の第六版で新規項目としました。飲食店などの入り口に「Welcome! ほじょ犬」のシールをよく見かけるようになった今日、「盲導犬」を引いた人に、ついでに、関連語として「補助犬」も知ってもらおうと考えて、「⇒:」の印をつけたのです。

【刈谷ハイウェイオアシス】
こうした関連語は、必ずしも初めから決まっているわけではありません。辞書の作り手は、「あることばとあることばに関連がある」と、まず気づくことが必要です。
今回、「浮き実」を新規項目に入れました。〈スープに うかせて、味を引き立てたり、見ばえをよくしたりするもの〉、つまり、パセリのみじん切りなどのことです。ところが、この語釈を書くうちに、「似たものが和食にもあったな」と思い至りました。吸い物の「吸い口」がこれと同じものです。それで、「浮き実」と「吸い口」を互いに関連語として扱いました。こうすれば、「吸い物の浮き実」などと言うことが避けられるでしょう。
最近、国道などの幹線道路沿いに「道の駅」という名の施設が増えてきました。高速道路のサービスエリアの一般道路版とでも言いましょうか。軽食堂や、特産品を売るコーナーなどがあって、ドライバーがひと休みできる所です。

【この記号に注意】
この「道の駅」も新規項目のひとつですが、語釈を書くうちに、またしても、似たような施設のことを思い出しました。「ハイウェイオアシス」がそうです。
ハイウェイオアシスは、高速道路のサービスエリアなどに併設された公園で、軽食堂や売店はもちろんのこと、施設によっては、フィールドアスレチックや回転木馬、観覧車まであります。地元の人が子連れで遊びに来られる場所になっています。
道の駅の中にはハイウェイオアシスと一体となったものもあるので、両者は関連すると言うことができます。結局、「ハイウェイオアシス」も新規項目に立てた上で、「道の駅」と互いに関連語として扱うことにしました。
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筆者プロフィール
飯間浩明(いいま・ひろあき)
早稲田大学非常勤講師。『三省堂国語辞典』編集委員。
早稲田大学文学研究科博士課程単位取得。専門は日本語学。古代から現代に至る日本語の語彙について研究を行う。NHK教育テレビ「わかる国語 読み書きのツボ」では番組委員として構成に関わる。著書に『遊ぶ日本語 不思議な日本語』(岩波書店)、『NHKわかる国語 読み書きのツボ』(監修・本文執筆、MCプレス)、『非論理的な人のための 論理的な文章の書き方入門』(ディスカヴァー21)がある。
URL:ことばをめぐるひとりごと(http://www.asahi-net.or.jp/~QM4H-IIM/kotoba0.htm)
【編集部から】
生活にぴったり寄りそう現代語辞典として定評のある『三省堂国語辞典 第六版』が発売され、「【サンコク】メディアでの紹介」の記事にある通り、各方面で取り上げていただいております。その魅力をもっとお伝えしたい、そういう思いから、編集委員の飯間先生に「『三省堂国語辞典』のすすめ」というテーマで書いていただいております。







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