大阪市の生野区には「コリアタウン」と呼ばれる一角があり、昨今の韓流ブームもあって、買い物の人や観光で訪れた人などで大変にぎわっています。(最寄駅は、JR大阪環状線の「鶴橋」駅または「桃谷」駅です)
表紙に「ようこそ! 多文化の街 コリアタウンへ」というキャッチフレーズが書かれたガイドマップには、次のように書かれています。
アンニョンハセヨ! 私たちの街「コリアタウン」へようこそ! ここ、コリアタウン(御幸通商店街)は キムチなどの韓国食材や民芸品、韓流グッズを扱う店舗約120軒が、東西500メートルの間に軒を連ねている活気溢れる商店街です。 (以下、略)
ここには、古くは戦前に来日した韓国・朝鮮系の人たちが大勢住んでおり、特に済州島出身の人が多いということですが、この商店街は、韓国第2の都市・釜山(プサン)にあるチャガルチ市場と姉妹関係にあるとのこと。
コリアタウン=御幸通(西商店街・中央商店街・東商店街)には4つの門が立っています。そのうちの『百済門』には、韓国のことばをハングルとカタカナで書き、それに対応する日本語訳が関西弁で付けられた横断幕が掲げられています。
「オイソ오이소 ボイソ보이소 サイソ사이소」とは、韓国の釜山地方で話されている慶尚方言で「来て、見て、買って」という意味だそうですが、その日本語訳がご当地の関西弁で「来てえな 見てえな 買うてえな」と書いてあります(第19回「お隣の国、韓国の方言事情」でも、韓国釜山でのこの表現について触れています)。
釜山は韓国第2の都市で、ちょうど日本における大阪のような地位を占め、その気質や方言が大阪に似ている面が多い、と言われることがある由。
韓国のいわば大阪にあたる釜山方言での表現と、それに対応する日本語訳が関西弁だという興味深い取り合わせの横断幕が、おりからの風に揺れながら、毎日、大勢の来訪者たちを迎えています。
《参考》
① 生野コリアタウンのガイドマップは、http://ikuno-koreatown.com/ を参照
② 鄭 惠先「方言イメージの日韓対照」(2007)によると、調査は日韓の代表的なそれぞれ8つの方言について、2005年には韓国の4都市で、翌2006年には日本の3都市で、大学生=合計649名を対象に行われたとのこと。その「まとめ」の中で「近畿方言と慶尚方言の間には共通するイメージが多く見られる」と述べられています。詳しくは、//www.isc.hokudai.ac.jp/www_ISC/staff/010/kankokunihongogakkai2.pdf を参照。