方言みやげは、目についたらすぐに記録するか、思い切って買うかという決断が必要です。あとで入手しようとしても、なくなっていることがあるのです、しかし寿命は様々で、短命のものも長命のものもあります。以下にほぼ半世紀を越えそうなものを上げましょう。
一つは山形県「酒田地方の方言」手ぬぐいです【図1】。1960年代前半第3集まで出て、今もそのまま売られています。
もう一つは岐阜県高山市のお菓子「飛騨ことば」です【図2】。餅菓子が1個ずつ民家の形の紙に入っていて、風情があります。これも1960年代の入手ですが、2012年に行ったら、まだありました。メーカーが変わりましたが、約半世紀続いています。
S氏が大阪の「浪花ことばせんべい」を買ってきてくれました。インターネット情報によると昭和36(1961年)から売られているそうですから、半世紀を越えたわけです。
方言グッズの寿命には制約があります。①まず仮名遣いの問題があります。戦前の方言みやげは、仮名遣いが変わったために、戦後には引き継がれませんでした。戦後出たものでは、②用途から言ってすたれたものがあります。例えば方言絵葉書です。この2条件をクリアすれば、長命の方言グッズが出現します。しかし「買える方言」では③販売維持努力が大変です。
一方「買えない方言」には、もっと長命のものがあります。『大阪弁看板考』(札埜和男 1999 葉文社)によると、大阪の方言店名の最長寿は「まからんや」(「まからない」「まけられない」の意味)で、操業100年ほどの歴史があるそうです。その次が大正8(1919)年創業の「さよか」で、これも100年近く続いています。
もっと寿命の長いものが見つかるかもしれません。何かご存じだったら教えてください。