これまで戦前方言絵はがきを紹介してきました。山形(第222回)、大阪(第227回)、博多(第232回)、青森(第237回)などです。主に桜井隆氏のコレクションの紹介でしたが、第1段階の整理がすんで、このほどインターネットで公開しました。絵はがき画像と文字化データ、一覧表などが入っています。「明海大学 外国語学部 日本語学科」のホームページの左側の「方言関係資料(井上史雄)」の「方言絵はがき.zip」にあります。
//www.urayasu.meikai.ac.jp/japanese/
全国のデータを一まとめにしたので、実際に見るためにはダウンロードが必要で、時間が10分ほどかかります。待っていると、パソコン本体にpcardというファイルができます。それをクリックすると、県別のファイルと全体の説明(ワードファイル)とエクセルファイルができます。この作業にまた2分ほどかかります。ダウンロードの時に少し大変ですが、ファイルを取得してしまえばあとは自由に使えます。
県ごとのファイルをクリックして、「大アイコン」または「特大アイコン」にすると画像が出ますから、どんな絵はがきがあるか、一覧できます。画像をクリックすると、大きくして見ることができます。
またエクセルファイルには文字化データが入っていますから、画像で読み取りにくい文字も読めます。さらに、一番上にある全国の「今村作業データリンク」というエクセルファイルを開いて、文字を検索すれば、ある言い方が使われているかが分かります。
ところで、名古屋は戦前方言絵はがきの研究が進んでいます。インターネットでも次のようなサイトで画像と解説が見られます。
① 成田道子「名古屋言葉絵葉書」にみられる昭和初期名古屋弁の再現
//www.bur.aichi-pu.ac.jp/kyoken/education/jishu/pdf/h21_report.pdf
②犬飼隆・成田道子 2010 「名古屋言葉絵葉書の書誌的研究」『国際文化研究科論集』第11号(日本文化編1号)愛知県立大学大学院国際文化研究科, 49-67.
また井上善博2009『名古屋絵はがき物語』(風媒社)にも2点の画像が収められています。
成田道子さんの私信によると、この1年ほどで収集に進展があって、「名古屋言葉絵葉書」は、127点、40種類の存在が確認されたそうです。ただ「焼き直し」もあるため、まとめると26種類になるそうです。
今回インターネットで公開した桜井コレクションには「名古屋言葉絵葉書」は入っていません。しかしその後入手できました。「御隠居と熊さんという男性」「年配婦人二人」「芸子と女将との電話による会話」「芝居を話題にした男女二人」で、26種のうちの4種にすぎません。このうちの1種を【図1】に掲げます。
全国で戦前に出された方言絵はがきは数百枚あるでしょう。(画像を)全部集めるのは無理でしょうか。
絵はがきは、インターネット上のバーチャル博物館に最適です。博物館や資料館に展示したら、劣化するし、実物の字は細かくて読み取りにくいからです。公開した桜井コレクションはカラーだし、拡大すれば細かいところまで読み取れますから、どうぞご覧ください。また未知の情報がありましたら、お知らせください。