方言絵はがきは、戦前にかなり出されたようです。桜井隆さん(注1)のコレクションをスキャナーにかけて、公開しようと計画しています。
絵はがきはたいてい8枚セットですが、中に16枚セットの方言絵はがきがあります。大阪と京都と天の橋立の3か所で見つかっています。観光客が多くてよく売れたのでしょう。
「大阪言葉説明入 大阪名所ゑはがき」16枚セットの1枚を紹介します。通天閣です。方言の説明を下に記します。促音「ッ」や拗音の「ャュョ」を小さく書いてないので、実際の発音が分からないことがあります。読み取れない文字があり、誤植かもしれない表記もあります。「エレベーター」「映画館」にあたる古い言い方を使っています。
大阪新世界
(ルナパーク)
タカイヤロー、コ
レガ通天閣デ三百
尺オマンノヤ自働
昇降器デジツトシ
テ上レマツカラ一
ペン昇ツテ見メヘ
ンカ、ソラ一番高
イ所デスヨツテ遠
方迄見ヱルナンカ
天王寺公園ヤ新世
界ノ活動寫眞館ナ
ドハ足許ニ見エマ
ツセ
通天閣を取り上げたのは、絵はがき研究の第一人者が集めて、変遷をたどっているからです(注2)。この写真のロープウェイ、広告などを手がかりに、明治45(1912)年完成の初代通天閣ができて間もないころ、初期の方言絵はがきと推定できます。
方言絵はがきについては第222回に書きました。これまで登場した方言絵はがきも、そこからクリックでたどれます。
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- 桜井隆(2010)「方言絵葉書について」応用言語学研究12
- 細馬宏通(2006)『絵はがきの時代』青土社