女優淡島千景(あわしま ちかげ)さんが亡くなりました(2012年2月)。代表作「夫婦善哉(めおとぜんざい)」(1955年)では、淡島さん一人が東京っ子で、ほかはみんな関西人だったので、共演の浪花千栄子(なにわ ちえこ)さんから大阪弁を教えてもらったそうです。大阪弁については、映画の世界で早くから「方言リアリズム」があったのです。テレビ、NHK連続ドラマの「おはなはん」(1966)の伊予弁は、先駆者を持っていたわけです。
今でも日本の方言の中で大阪ことばが一番元気です。大阪のみやげ品で方言を使ったものが増えているし、マスコミでも全国に大阪弁が流れます。また、国外でも使われています。「Okiniおおきに」という店が海外にもあることは、第127回で紹介しました。
今回はグーグルマップで「Maido まいど」を調べてみました。図のように主にアメリカ、ヨーロッパとアジアに見られます。Okiniとそっくりです。店名として使われることは、地図の左側の欄で見られます。この店名を見て、日本人は関西系の店で庶民的な雰囲気だと、判断するでしょう。大阪弁の経済効果です。実際は分かりませんが。
グーグルインサイトはもっと強力で、国ごとの数値のエクセル集計ができます。これを解説した論文が、『明海日本語』17号に出ます。3月末にはインターネットでも読めますから、ご興味のあるかたは検索してください。
また、日本の方言店名の世界展開について、英語論文がインターネットジャーナルDialectologiaに載りました。画像が多いので、ダウンロードに時間がかかります。残念。
www.publicacions.ub.edu/revistes/ejecuta_descarga.asp?codigo=725
(PDFファイルダウンロード〔10.2MB〕)