これまで何回か海外の方言みやげを紹介しました。今回はイタリアです。何度か行く機会があって、みやげ店などをのぞきましたが、見つかりませんでした。その後教え子がイタリアに滞在して見つけたのを、送ってくれました。
イタリア北西部(トリノ周辺)のピエモンテ方言のカレンダーです。【写真1】表紙と【写真2】10月のページを示します。
左上にotoberと書いてあります。イタリア語辞典に載っている10月はottobre で、8を指すラテン語octoの子音が単純化されたものです。オットと発音します。どうやらこの方言では短くなってオトと発音すると、見当がつきます。
細かい字の説明文の半分もピエモンテ方言で書かれているようです。イタリア標準語で書かれても、ド素人には分からないのですが、辞書に出ていないつづりで書かれていますから……。補助記号(文字飾り)で発音を表す工夫をしています。
イタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語とルーマニア語などは、ローマ帝国のラテン語からのちに分かれた言語で、ロマンス語と呼ばれて、お互いによく似ています。イタリアは、中世の封建領主の力が強かったので、方言差が大きくなったと言われています。
曜日の名もイタリア語とフランス語に似ています。曜日や月の名前はカトリック教の影響を受け、宗教的な命名が広がりました。国境を越えて隣国に広がったので、言語の境界と一致しない方言差が見られます。ヨーロッパ全体の「土曜日」の地図は、拙著『変わる方言 動く標準語』(2007.2)筑摩新書p.85に再録してあります。残り約100冊で絶版予定だそうです。新本がほしいならお早めに。もっともAmazonか何かで1円で出るのを待つ手もありますが。
ふと思いついて、インターネットでdialettoと入れて画像を検索してみました。イタリア語の方言についての画像が出るのを期待したのです。昔の方言絵はがきの画像が見つかりました。また最近のもありました。方言を使ったみやげ品や広告は、もっとあるに違いありません。今度イタリアに行く機会があったら、じっくり時間をかけましょう。