JR上田駅前には、日本一の兵(つわもの)と称された戦国武将・真田幸村の銅像が建っています。その像を眺める前に、今、多くの観光客の皆さんが目にするのは、「美味(おい)だれ焼き鳥」の垂れ幕です。
上田市内には、50年以上前から親しまれている焼き鳥のタレと食べ方があります。
タレは、しょうゆベースで、そこにすりおろしたニンニクが入ったもの。
食べ方は、テーブルの上のコップに入ったタレに串をさし入れたり(串カツのソースと同じで二度付け禁止!です)、タレ壺から自分でタレをかけたりする、というものです。
上田市内の皆さんにとっては、ごくごく当たり前のことであった、この食べ方とタレが、実は上田独特のものだということが、焼き鳥好きの市民と、焼き鳥店の方によって判明しました。
そこで、「美味だれで委員会」が結成され、独特のタレとその食べ方を「美味だれ」「美味だれ焼き鳥」と名付け、全国発信に向けて動き始めることになりました。その手始めに作成されたのが、「美味だれ焼き鳥」を味わえるお店を紹介した「食べ歩きまっぷ」。
それによると、「おいだれ」の命名には、次の三つが重ね合わされています。
①慣れ親しんだ仲間などに使う愛称(上田の方言)
②おいしいタレ
③後から自分の好みで付けられる追いダレ
[おまえたち]の意で、地元出身の大学生が使うことはほとんどありませんが、学生の親御さんの年代以上では、現役のコトバです。ほかに、「おいだち」「おまえだれ」などの語も、使われることがあります。
現在、上田市は、「美味だれ」と「美味だれ焼き鳥」を特許庁に商標登録。委員会でも、
これを機会に地元の人たちが地域に根ざした食文化を大切にし、今後とも末永く美味だれ焼き鳥が受け継がれていけば嬉しい。また、ご当地グルメとして、信州上田のPRにつなげられるものとしていきたいですね。
と、期待を寄せています。
[おまえたち]の意味を知らなかった若い世代も、焼き鳥を通して、地元の方言を再認識することになりそうです。