英和袖珍新字彙
明治23年(1890)12月12日刊行
F. W. イーストレーキ、棚橋一郎共編/本文775頁/袖珍判(縦91mm)
本書は、明治17年(1884)刊行の『英和袖珍字彙』に続く姉妹編として出版された。編者の名義は明治21年(1888)刊行の『ウヱブスター氏新刊大辞書 和訳字彙』と同じで、内容もかなりの部分を同書に基づいた編集になっている。ライバルである大倉書店の辞典編者島田豊を引き抜き、斎藤精輔と協力して作られたという。
初学者向けに本のサイズを『英和袖珍字彙』の半分としたため、収録語数は減っているが好評を得て20年以上増刷が続いた。印刷は、新設の三省堂活版所によって行われている。
●最終項目
Zymotic, a. 醱酵ニテ生ジタル
●「猫」の項目
Cat, n.〔動〕猫──v.t.〔航〕錨ヲ錨拮ニ引上ゲル
●「犬」の項目
Dog, n. 犬;小人;鉄架;狼星──v.t. 追尾スル,附纏フ
和英袖珍新字彙
明治24年(1891)5月28日刊行
F. W. イーストレーキ、神田乃武共編/本文904頁/袖珍判(縦91mm)
本書は、明治21年(1888)刊行の『和英袖珍字彙』に続く姉妹編として出版された。『英和袖珍新字彙』と同様に、20年以上増刷が続くロングセラーである。
編者の神田乃武は当時、正則予備校で創立者のひとりとして教鞭を執っていた。のちに東京帝国大学の教授、東京外国語学校の初代校長となる。
初学者向けのため、内容は『和英袖珍字彙』より簡略になっているが、前書にはなかった「字彙」が載っている。また、最終項目も「ずずだま」(じゅずだま)の後に「ずうずうしい」が加わった。見出しは和英辞典で初めてをボールド体を使い、目立つように工夫がされている。
●最終項目
Zūzūsii, 図々敷, coll. a. Bold, fearless, daring, audacious, impudent.
●「猫」の項目
Neko, 猫, n. A cat; also, coll. a singing girl.
●「犬」の項目
Inu, 犬, n. A dog.