今回も、日本の方言について全世界と関連づけうる新手法を紹介します。インターネットのGoogleマップを使うと、言語地図が簡単に作れます。
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【図1】はGoogleマップを呼び出して、”モータープール”というカタカナで検索したときの日本地図です。関西にたくさんバルーンがあります。「モータープール」は駐車場の意味で、大阪付近で看板をよく見かけます。このシリーズのメンバーの日高さんが1979年に詳しく報告しました。他の地域だと「月極駐車場」または「月決駐車場」と書くところです。
県単位、地方単位の地図にすると、もっと多くのバルーンが出ます。丹念に地域をずらして地図を保存すると、全国で使われていることが分かります。場所の説明を読むと、会社の業務用の車置き場の名前にも使われることが分かります。自衛隊でも使うそうです。さらに、Yahooなどで”モータープール”と入れて「画像」を検索すると、施設や場所の写真があり、実態が分かります。
戦後まもなく作られた米軍の東京地図を見たら、大手町にmotor poolがありました。アメリカ陸軍の用語で、士官がジープを共用するための駐車場の意味でした。それが日本各地で、生き延びたのです。
ふと思いついて、Google maps(アメリカ版)でアルファベットの”motor pool”を入れて、世界地図レベルで検索しました。【図2】のように、みごとにアメリカに集中分布します。またフィリピン、オーストラリア、ヨーロッパ、アフリカなど世界各地に点在します。アメリカ軍の配置と関係がありそうにも見えます。国内の気づかない方言が、意外に世界全体の違いに対応しているのです。
皆さんも思いついた単語の言語地図を作ったらいかがですか? そして結果を教えてください。なお付図のような形で地図を出す知恵について、またGoogleマップの画面の保存については、第127回「Googleマップで見る関西弁の世界進出」をご覧ください。