辞書に引き慣れてくると、各頁の右欄外や辞書の腹に印刷されているアルファベットに頼ることなく、目指す単語の載っているあたりをさっと開くことができるようになる。参考までに『クラウン独和辞典 第4版』の、レターごとに占める頁数を調べてみると、次の通りであった。
頁数 | 本文頁 | 頁数 | 本文頁 | ||
A | 149 | N | 45 | 947~991 | |
B | 118 | 150~267 | O | 24 | 992~1015 |
C | 11 | 268~278 | P | 61 | 1016~1076 |
D | 72 | 279~350 | Q | 6 | 1077~1082 |
E | 90 | 351~440 | R | 59 | 1083~1141 |
F | 70 | 441~510 | S | 216 | 1142~1357 |
G | 96 | 511~606 | T | 58 | 1358~1415 |
H | 89 | 607~695 | U | 72 | 1416~1487 |
I | 26 | 696~721 | V | 86 | 1488~1573 |
J | 11 | 722~732 | W | 82 | 1574~1655 |
K | 90 | 733~822 | X | 1 | 1656 |
L | 53 | 823~875 | Y | 1 | 1657 |
M | 71 | 876~946 | Z | 69 | 1658~1726 |
Hの部がほぼ中央にある。一般に英和辞典ではM、仏和辞典ではIの部が中央になっているようだ。 Sの部が占める頁数が最多で216頁あり、そのなかでもsch-, Sch- だけで72頁(1157~1229)ある。またAの部は独和の部の総頁1726のおよそ1割に近い。同じ1頁でも、FやZの最終頁のように1行余さずぎっしり詰め込まれている場合もあれば、M やQの最終頁のように12~13行しか記載されていないケースもあるが、これらの数字は『クラ独 4版』を引く際の目安になろう。頁数で独和の部のまんなかに当る863頁の末尾の見出し語はLizenzgebühr「認可(ライセンス)料」である。
少し古い統計であるが、Helmut Ludwig : Gepflegtes Deutsch.(Leipzig 1983)に、ある調査によるドイツ語の字母の使用頻度(頭字とは限らない)は、小文字ではeが一番高く、以下 n ; r ; i ; s, t ; a, d, h …、大文字では Sを先頭に、A, I ; B, D, G ; E, H, K, M, T, W ;V… の順と書かれている。また、最もよく使われる単語10傑は、die, der, und, in, zu, den, das, nicht, von, sie であるそうだ。これは最近の英語のある語彙調査で,最もよく使われる単語の上位10個が、the, of, and, to, a, in, that, it, I, was(『世界の辞書』研究社1992に所収の東信行:「英国の辞書」より)であるのとよく符合するといえよう。