Wiesbadenのドイツ語協会(Gesellschaft für deutsche Sprache)が発行する月刊語学雑誌「Der Sprachdienst」の最近号(2⁄09)に、2008年ドイツ全土の新生児に付けられた最も人気のある名前が載っている。上位5番目までを転記すると、女児では第1位がSophie⁄Sofie(2)で、以下Marie(1)、Maria(3)、Anna⁄Anne(4)、Johanna(7)の順。男児の第1位はMaximilian(2)で、これにAlexander (3)、Leon (1)、Paul (4)、Luca⁄Luka (5)とつづく。なお名前のあとの( )内の数字は2007年の順位を示す。
これでみるとElisabethとかBarbara、KarlとかWilhelmはもう人気のない名前となっているようだ。これらの女児名はすべて『クラ独 第4版』の見出し語に《女名》として採録されているが、男児名のうちLeonと Luca⁄Lukaは見出しにない。将来彼らが成人する頃は辞書に採録される人名も変わることだろう。
『クラ独』の用例や例文で、主語や目的語に「彼」「彼女」ばかりでなく具体的な人名も使われる。多く登場するのはMüller、Meyer、Schmidtなどというドイツ人に多い姓だ。例えばheißen ① の用例で:Ich heiße [Heinz] Müller. 私は[ハインツ・]ミュラーと申します.lieb ① で:Lieber Herr Meyer! ( Meine ~e Anna!) (手紙の冒頭で)親愛なるマイアーさん(愛するアンナ). Name ① で: Mein ~ ist [Peter] Schmidt. 私の名は[ペーター・] シュミットといいます.geboren ③ で:Frau Sabine Schmidt[,] ~e (geb.) Müller ザビーネ・シュミット夫人、旧姓ミュラー.といったぐあいである。しかし、それほど典型的でない姓もあり、例えばberufen1 ① で:Prof. Moser wurde als Ordinarius an die Universität Bonn (nach Bonn) berufen.モーザー教授は正教授としてボン大学に招かれた.vorstellen 【再帰】① で:sich4 mit Stein (als Lehrer) ~ 自分はシュタイン(教師)だと名乗る.など。bekannt の記述の最後に並ぶ慣用句 j4 mit j3 bekannt machen で: Darf ich Sie mit Herrn Bender bekannt machen? ベンダーさんをご紹介しましょう.… 白状するとここでは筆者個人の知人Bender氏の名を拝借させてもらった。また人の姓名に限らず、固有名詞で編修陣の遊び心から、Lebenslauf(履歴書)の見本の中でHanako Okadaさんの勤務先にSanseido (Tokyo)をそっと忍び込ませた。この女性の学歴に実在する大学名を入れようかとも思ったが、結局はxxUniversitätとなった。付録のCD 94 (テキスト17ページ)にZum Hotel Eisenhut, bitte! アイゼンフートホテルまでお願いします(タクシーの運転手に).があるが、アイゼンフートは観光都市ローテンブルクに実在する、知る人ぞ知る由緒あるホテル名である。