このたった5文字が,観光の方言メッセージになっています。
発信元は岩手県山田町で,目的は観光客の「誘致」です。
「かきくけこ」は,昨年からテレビCMで放映され,2008年度「ふるさとCM大賞」に輝きました。岩手朝日テレビウェブサイト内『ふるさとCM大賞』「2008年度受賞作品」のページ【写真1】(//www.iat.co.jp/FurusatoCM/2008prize.html)から『実物』を見ることができます。年配の人たちが,「カキー,クーケーコー」と一部の音を延ばして発音して女の子(みさきちゃん)を呼びます。
その「かきくけこ」の意味は次のとおりです。
「かき」は,牡蠣です。山田町は,岩手県の太平洋沿岸地帯の中部に位置し,牡蠣の養殖が盛んです。牡蠣や帆立の養殖棚で一面が覆われた山田湾は,なかなかに壮観です。
「く」=「クー」は,(牡蠣を)「食う」ですね。
「け」=「ケー」は,理由の「から」です。山田町や宮古市,久慈市など岩手県の太平洋沿岸部で使われる語法です。正確な発音は[ケァー]で,普通の[ケー]よりも広く口を開けます。
「こ」=「コー」は,「来い」です。東北地方の太平洋側(岩手県・宮城県・福島県)で使われます。例えば,「コッツァコー」(こっちに来い)などと使います。
以上より「かきくけこ」は,「(今から)牡蠣を食べるから,(あなたも一緒に食べに)来い」であることが分かります。
CMでも,牡蠣を焼いている場面に「カキ食うけぇ来お(カキを食べるからおいで)」との解説も併せて入ります。
また,つい最近も,「三陸山田かき祭り」のポスター【写真2】【写真3】(全体)に採用されています。
「かきくけこ」は,私の担当回(第31回・第36回・第41回)で説明している,観光の方言メッセージの構成方式つまり『型』では,『応用型』です。
なお,山田町は『基本型』もきちんと押さえてあります。2例紹介します~【写真4】【写真5】。いずれも,JR山田線「陸中山田」駅に掲示されている歓迎メッセージです。
おめぁさんがど,いつど,やまださ きなさんせ。
(みなさん,一度,山田へ いらしてください)