この連載も前回が50回,今回から新たな50回となります。できるだけ回を重ねることができるよう,精一杯頑張りますので,みなさん,よろしくお願いします。
さて,今回の話題は,「みやげ」でない「方言グッズ」です。
この連載の題名(副題)のように,私たちは「みやげ」と「グッズ」の二つをひとまとめにして,「方言みやげ・グッズ」と呼んでいます(第1回また第31回で説明)。その理由の一つに,「みやげ」と「グッズ」の区別が付けにくい,ことがあります。
そういうところ,私の専属研究助手~世間では「妻」と呼ばれます~が,「みやげ」でない「方言グッズ」を見つけてきました。
「nacre」ブランドの,「とうほくのことば」と題されたティッシュペーパーとトイレットペーパーです。発売元は三菱製紙(家庭紙事業室,所在地:岩手県北上市)です。
ティッシュペーパーは,『箱』の「側面」と「底」に東北地方の方言がたくさん載っています。このティッシュペーパーは,5箱1パックで,「側面」は5箱の長辺側の2面つまり10面に,各面3例ずつ計30例の方言が載せてあります【写真1】。
また,「底」には,5箱共通で,東北地方6県各々の代表的な方言が,各県5例ずつ計30例,共通語の意味とともに一覧になっています【写真2】。
トイレットペーパーは,12巻1パックで,そのパックのビニール外袋の2面に,1面6例ずつ計12例の方言が示してあります【写真3】。
さらに,各県の象徴のイラストもあわせて載せられています。青森:リンゴ・ホタテ,岩手:南部鉄瓶・わんこそば,秋田:なまはげ・きりたんぽ,などです。
これらは日用の消耗品ですし,また,上で述べたとおり,かなり『かさ』の張る商品ですから,製造者に,観光地でのおみやげにする意図はなく,地元の人に『ふるきよきふるさと』を思い出してもらいたい目的で製作されたものだというのはすぐに分かります。他社製品との差別化,という販売戦略のなかで,方言が採用されたのですね。
「方言グッズ」には,こういう日用品もあるわけです。