複数の語から成り立っている動詞の場合は、造語によるものはわずかで、動詞句が熟語化したものが大部分である。その中のあるものはさらに不定詞形、分詞形を1語に書くようになった: Rad fahren「自転車に乗って走る」、teilnehmen「参加する」、freisprechen「無罪放免する」、abfahren「発車する」。動詞と動詞の場合は基本的には分かち書きされるが、比喩的な意味の場合は不定詞形、分詞形を1語に書いてもいい: einkaufen gehen「買い物に行く」、schwimmen lernen「泳ぎを習う」、sitzen bleiben「すわったままでいる」、sitzen bleiben / sitzenbleiben「留年する」。また、sein動詞の場合は常に分かち書きされる:da sein「いる、ある」。
ただ、brandmarken「烙印を押す」、langweilen「退屈させる」、bausparen「住宅貯蓄銀行に積み立てる」などはそれぞれBrandmarke「烙印」、Langweile「退屈」、Bausparkasse「住宅貯蓄銀行」という名詞から造語された動詞である。従って、これらは分離動詞のように、人称変化したときにbrand, lang, bauが分離することはない。ちなみに、staubsaugen「掃除機をかける」も本来Staubsauger「掃除機」という名詞から造語された動詞であるから、staub「埃」とsaugen「吸う」が分離することはなく、人称変化したときもIch staubsauge.「私は掃除機をかける」となる。しかし、Staub saugen「埃を(掃除機で)吸い取る」という動詞句が熟語化したと解釈され、Ich sauge Staub.「私は(掃除機で)埃を吸い取る」という形も生まれた。
最後に、複数の語から成り立っている前置詞、接続詞、副詞であるが、これらはすべて特定の造語パターンによるのではなく、句が熟語化することによって生まれたものであり、意味的な一体化が進むにつれて1語に書かれるようになる:前置詞: in Bezug auf「…に関して」、an Stelle / anstelle「…の代わりに」、anhand「…をもとに」。接続詞:statt dass「…する代わりに」、so dass / sodass「その結果…する」、indem「…することによって。副詞:zu Lande「陸路で」、zu Hause /zuhause「自宅で」、sowieso「いずれにしても」。