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地域語の経済と社会 第350回 連載350回をふり返って

2016年 3月 26日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第350回 連載350回をふり返って  執筆者一同

 近年,全国各地で,その土地の方言を活かした商品や品々が増え,建物や施設などに地元の方言を活かしたネーミングなどが多くなってきています。私ども方言研究者が共同で,身近にあるそういった事例を探し,写真入りで紹介して現状を把握し確認したいと考えて始まったのがこの連載でした(2008年6月~)。

 地域性にも,また事例のバラエティーにも配慮しながら,多様で多彩な実態がわかるようにしたいというのが一同のめざすところでした。関西などに事例が多いことは周知のことでしたから,次のようなことに努めました。

《1》これまであまり(あるいはほとんど)報告されていない地域に重点を置きたいと考えました。
《2》また,まだ知られていないような事例の発掘にも力点を置きました。
《3》企画し制作した人には,ねらいや方言の持つどういう面をどのように活かすつもりだったのかについても可能な限り問い合わせて,それを記すようにしました。

 その結果,全体としては,次のようなことが明らかになりました。

(1)地域としては,これまで手薄だった茨城・千葉・神奈川,滋賀・奈良・和歌山,などを含む47都道府県のすべてから具体例を見つけることができ,全国に拡がっていることが確認できました。
(2)事例も,焦点を当てて中心的に取り上げたものと,関連して類似例として挙げたものを合わせると,1000件を軽く超えています(数え方が難しい面もありますが)。
(3)外国についても約30の国と地域の事例を紹介し,日本以外にも同様の事例は広くあちこちにあることがわかりました。

 また,内容面での内訳を見ると,次のようなことが言えるでしょう。

① 「方言」はそれぞれの地域らしさをアピールする恰好の素材・手段として,自信を持って誇らしく活用されている。
② 予想をはるかに上回る,実に多様で多彩なバラエティーと数とがあった。
③ 想定されている主な対象者としては,大きく分けて,地元の人たち向けのものと,観光客や外来者・購買者など,地元以外の人たち向けのものとがある。
④ 地元向けは,親近感や訴える力の強さを,地元以外向けは,不思議さや興味深さ・意外性を活かそうと考えたものが多い。
⑤ 商業方面はもちろんのこと,自治体など“お堅い”と思われている分野でも見られるようになっている。
⑥ その背景には,地域色を強くアピールし,個性的で親しみやすく印象的に表現したいという意図と願いが込められている。
⑦ ちょっとひねりを効かせたり,ことば遊びの要素を加えたりして,ユーモラスな効果をねらったものもある。
⑧ 表記の面では,かつてはひらがな・カタカナや漢字交じりが主流だったが,近年ではローマ字書きの例が非常に増えている。
⑨ それ(⑥⑦⑧)は,泥臭くなくスマートに面白く表現したいという意図をもったものであると考えられる。
⑩ 地元の方言以外の,よく知られた他の地域の方言を活用した事例も見られる。
⑪ 高校生や大学生が方言を活かした活動に取り組む例が見られるなど,高年層・中年層だけでなく,若年層も方言に関心を寄せている。
⑫ 特に近年になるほど,こういう事例が盛んに作られ見られるようになっており,この傾向は,今後もますます増えるであろうと思われる。

 執筆者は,当初の5人に加えて,関心を持つ方言研究者にも依頼し,合計13人になりました。今回の連載の中には方言研究という面から見て,貴重な情報がたくさん集まっています。方言グッズや方言を活用した事例はまだまだたくさんあるはずですから,探索と収集の作業は今後も続けていきます。またいつか発表の機会があることを願っています。

『魅せる方言 地域語の底力』
『魅せる方言 地域語の底力』

 毎回お読みいただいた皆様,長い間のご愛読,ありがとうございました。お忙しい中,私どもの問い合わせに答えてくださった企画・制作者の皆さんにもお礼を申し上げます。併せて,こういう得がたい機会と発表の場を提供していただいた三省堂Webサイトに,厚くお礼を申し上げ,ひとまずの締めくくりとさせていただきます。

 なお,この連載のちょうど半分に当たる第174回(2011年10月)までの記事の精選版は,『魅せる方言 地域語の底力』(三省堂 2013年11月)として刊行されています。

 2008年6月の第1回から今回の350回まで,8年近くにわたって連載した記事は当分の間,このサイトに残されていますから,今後も見ていただくことが可能です。ネットサーフィンができますから,「バーチャル方言博物館」としても役立ちます。また事例をどう分類できるかなどについては,『魅せる方言』もぜひご覧ください。

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。2008年から長きにわたって、方言研究の第一線でご活躍中の先生方からリレー連載をしていただいておりました。この第350回にて休載となります。

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この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。

地域語の経済と社会 第349回 静岡県浜松の方言クッキー

2016年 3月 12日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第349回 静岡県浜松の方言クッキー

 静岡県浜松の方言をクッキーに書いたお土産をもらいました。箱(包装紙)には,次のような方言が10語並び,横には小さく共通語訳が添えられています。【写真1】

しゃんべえ〔おしゃべり,口の軽い人〕
いっしょくた〔ごちゃまぜ〕
そうだら?〔そうでしょう?〕
バカ頭いいや〔とても頭がいい〕
いっとん〔いちばん〕
おすんばぁ〔はずかしがりや〕
お湯がちんちんだにー〔お湯が熱いよ~〕
そんなぶしょったい格好して〔そんなだらしない格好して〕
とんじゃかないよ〔かまわないよ〕
だもんで〔だから〕

(画像はクリックで拡大)
【写真1】『遠州浜松弁クッキー』の箱
【写真1】『遠州浜松弁クッキー』の箱
【写真2】『遠州浜松弁クッキー』の裏面の方言
【写真2】『遠州浜松弁クッキー』の裏面の方言

 箱の裏側には「遠州浜松弁いろいろ わかりそうでわからない浜松弁。さっそく使ってみたくなります。」と書いた下に,16語があげてあります。【写真2】

 ところが,よく見ると左の列の5語「いっとん」「~だもんで」「そうだら?」「いっしょくた」「おすんばぁ」は,何と先の箱の表にあげてあった方言とまったく同じです。5語ずつ3列に並べたその中央の上には「あわっくらい」〔あわてんぼう〕という方言があるのですが,それを実践してみせたのでしょうか? 表も裏も「いっしょくた〔ごちゃまぜ〕」になっていて,「だもんで・そうだら?・いっとん・おすんばぁ」〔だから・そうでしょう?・いちばん・はずかしい〕というギャグなんだろうかと,とんじゃかない〔〈頓着がない〉が変化した言い方。かまわない,の意〕そのおおらかさに思わず目が点になりました。

 他には,いいとこまんじゅう〔都合のいい場所・秘密〕,いじゃ〔行こう,おいで〕,うっちゃる〔捨てる〕,うんもすんもない〔どうしようもない〕,まっと〔もっと〕,かっちんだま〔ビー玉〕,くろ〔すみっこ〕,けっこい〔きれい〕,おんし〔おぬし,おまえ〕,ちょっくらちょお〔一筋縄〕があげてあります。

 箱の中には12枚のクッキーが入っており,淡い黄色の生地の表面に,こげ茶色の字で方言が書かれています(「おすんばあ,ちんちん,ぶしょったい,だもんで,そうだら?」が入っていました)。これを食べながら,あげてある方言をあれこれ組み合わせてつないでいくと,いろいろな文章が浮かび上がってきて,「実は深謀遠慮,意味深長な配慮のもとにこれらの語が選ばれているのかもしれない。一筋縄ではいかないぞ」と思ったことでした。

 製造元に電話して先の例を挙げて話を聞くと,「いやいや,そんなたいそうなことではありません」と苦笑まじりの返事が返ってきました。方言は,できるだけ浜松らしいものをという基準で地元出身の皆さんが意見を出し合って裏面にある語を選び,それに響きが面白いものや有名なものをさらに足し合わせて表の面を仕上げたそうです。平成23年4月から発売し,販売店や買った人からはなかなか面白いという反響があるということです。

 改めて箱のデザインを見てみると,「静岡浜松 遠州浜松弁クッキー」とあり,市のマスコットキャラクター・はままつ福市長「出世大名 家康くん」がお城の側に立ち,「浜松弁はこんなにいっぱいあるんじゃ」と言っています。【写真1】

 周りには当地の代表的な産物のオートバイ・日本茶,それに浜名湖に立つ鳥居のイラストが配してあります。あちこちに音符が踊っており,家康くんの袴が鍵盤になっているのは楽器の街だからですが,紋付もよく見るとミカンの紋様になっています。これもいかにも静岡らしさを表しています。あれぇ,浜松と言えば浜名湖のうなぎが有名なのに……と思ってよ~く見てみたら,家康くんの頭のちょんまげがうなぎになっていました。

 家康くんは「ゆるキャラグランプリ2013」では惜しくも2位でしたが,「同2015」でついに第1位を獲得して,念願の天下を取りました!

 なお,方言名のお菓子は,第301回,第312回,第320回,第348回などを参照してください。第301回にはそれ以前の例へのリンクがあります。

第301回 peccoぺっこ―意味のある方言菓子
第312回 お菓子の外来語―新潟市のロシア語 Loanwords of cakes — Russian language in Niigata City
第320回 会津のお菓子「くいっちい」
第348回 大分県豊後高田市のお菓子『も~な・菓』

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『魅せる方言 地域語の底力』日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
 大分大学名誉教授(日本語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと,“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986),「宮崎県における方言グッズ」(1991),「「~されてください」考」(1996),「方言によるネーミング」(2005),「福祉社会と方言の役割」(2007),『魅せる方言 地域語の底力』(共著,三省堂 2013)など。

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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。2008年から長きにわたって、方言研究の第一線でご活躍中の先生方からリレー連載をしていただいておりました。350回にて休載となります。

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この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。

地域語の経済と社会 第348回 大分県豊後高田市のお菓子『も~な・菓』

2016年 2月 27日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第348回 大分県豊後高田市のお菓子『も~な・菓』

 大分県豊後高田市は,方言研究者にとっては,2つの点で“有名な”ところです。

 1つめは,この連載の第73回「大分県豊後高田市の「方言まるだし弁論大会」」でも紹介しましたが,昭和58年から「大分方言まるだし弁論大会」が毎年10月に開催され,方言を活用した名物行事として地元ではすっかりお馴染みで,(途中2回の休みを挟んで)すでに31回の歩みを重ねています。

(画像はクリックで拡大)
【地図】田中茶和子「大分方言における「シンケン」の広がり」(平成5年)から
【地図】田中茶和子「大分方言における
「シンケン」の広がり」(平成5年)から
【写真】『も~な・菓』とボンネットバス型の紙製ケース
【写真】『も~な・菓』と
ボンネットバス型の紙製ケース

 豊後高田市あたりでは,方言での強調の言い方を「モナ・モーナ」という点で特徴があります。語源は「猛な」ではないかという見方もありますが,県内でもこの地域だけで使われています。全国で刊行された方言集や方言辞典など約1000冊をまとめた『日本方言大辞典』にも,県内の代表的な方言集に収録された語を集めて整理した『大分県方言集成』にも出ていません。が,【地図】は県内での〔非常に〕に当たる言い方の分布を示したもので,これには出ています。(中央上部の平たい▲のマークです)

 その豊後高田市には,昭和30年代のたたずまいを色濃く残した「昭和の町」という一画があって,観光地になっています。この「昭和の町」の中を今では非常に珍しい,昔懐かしいボンネットバスが走っています。

 それにちなんで作られたお菓子に『ボンネットバスも~な・菓』(最中)があります【写真】。箱はボンネットバスを象っており,最中の皮にはそのバスが型押しされ,餡には一般的なあずき餡の他に,この地域の特産品の落花生を活かしてピーナツの入った餡もあります。ただし,先に紹介したような方言についての情報を知らないと,『も~な・菓』という名前が一体何を意味しているのか,わからないでしょう。中に「しおり」が入っており,次のように説明されています。

「もーな」は「とても」「たいそう」などを強調する豊後高田の方言です。
「もーな・菓」は,看板商品のもーなうんめぇー最中です!

つまり,豊後高田らしさを表現した「もーな(おいしいお)菓(子)」だ,というわけです。

 2つめは,市内の海岸部「呉崎」地区が,方言に関して珍しい歴史をもっている点です。今から約180年前・江戸時代後期に天領・日田の代官によって大規模な干拓が行われ,ここに対岸の広島県から移住してきた大勢の人たちが「呉崎村」を構成して長年暮らしてきました。村内には小学校と高等科(のち中学校)があり,卒業後は広島方面に就職する人が多く,周囲の大分の町や村とはあまり交流せず,また代々広島との間で婚姻関係を結んできたことなどもあって,広島と太いパイプでつながれ,広島方言が根づいて脈々と伝えられてきました。いわば広島方言がカプセルに入ってこの地に降り立ち,長い間“方言の島”となってきたわけです。しかし,昭和29年に呉崎村は高田町と合併し,直後に市制施行。中学からは市内中心部の高田中学校に通学することになって周囲との交流が一気に進み,今では従来の広島方言的な特徴は高齢者にわずかに残るだけになりました。[注]

 呉崎は干拓地という土地の特性=砂地を活かして,西日本では珍しい白ネギの産地として知られていますし,またスイカと落花生も特産品の一つになっています。それが先のピーナツ餡に活かされているというわけです。

 

[注]松田正義『方言生活の実態』(明治書院,昭和35年)p28~48,宮原かおり「大分県豊後高田市呉崎方言の変容」(平成6年)などを参照。

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『魅せる方言 地域語の底力』日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
 大分大学名誉教授(日本語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと,“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986),「宮崎県における方言グッズ」(1991),「「~されてください」考」(1996),「方言によるネーミング」(2005),「福祉社会と方言の役割」(2007),『魅せる方言 地域語の底力』(共著,三省堂 2013)など。

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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。2008年から長きにわたって、方言研究の第一線でご活躍中の先生方からリレー連載をしていただいておりました。350回にて休載となります。

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地域語の経済と社会 第343回 宮崎県都城市の『方言カルタ』

2015年 12月 19日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第343回 宮崎県都城市の『方言カルタ』

 子供の頃,お正月にはお年玉をもらい,着るものも履くものも新しくし,新年気分にひたったものでした。屋外では凧揚げ,室内ではカルタ取りなどが定番の遊びでした。

【写真1】『みやこんじょ方言カルタ』の大型判(提供:盆ジュール)
【写真1】『みやこんじょ方言カルタ』の大型判
(提供:盆ジュール)
【写真2】『みやこんじょ方言カルタ』
【写真2】『みやこんじょ方言カルタ』
(クリックで拡大)

 この連載でも,「方言かるた」を第33回,35回,82回,105回,210回で紹介していますが,宮崎県都城(みやこのじょう)市にも『みやこんじょ方言カルタ』があります。これが他とちょっと違っているのは,室内用のふつうサイズのほかに,体育館などでも遊べるようにと,ビッグな絵札=B2サイズ大(約50cm×約70cm)の大型判も作られている点です。

 企画したのは,都城の地域おこしと情報発信をしているグループ=「盆ジュール」です(都城は盆地で,それと〔こんにちは〕の意のフランス語にかけたネーミングです)。「楽しみながら,都城の方言を子供たちに少しでも伝えることができれば……」と願い,また大型判は「体を動かしながら楽しく方言と触れあってほしい。学校や公民館などに無料で貸し出したい」と呼びかけ,賛同者からの募金を集めて作りました【写真1】。クラウドファンディングサービスのサイトに,その写真や関連の情報が載っています(https://faavo.jp/miyazaki/project/155)。

 大型判の場合,読み札が大声で読み上げられると,子供たちは一斉にめざす札に向かって走りだします。判断力・瞬発力と同時に根気と体力も必要です。特に室内に閉じこもりがちな冬には有効で,格好の運動になります。(その後,高齢者福祉施設から「ふつうのものでは小さ過ぎるが,大きなものでは参加はむつかしい。いっしょに遊びたいのだが……」という要望があり,A5サイズ大(約15cm×約20cm)の中型判も新たに加わりました)。

 読み札を見ると方言色満載で【写真2】,

「おいげん きっみやん」
  〔私の家に,来てみて〕
  俺の家に>おいげん  来てみやり>きっみやん

「げんねっせ かおかいひがでっど」
  〔恥ずかしくて,顔から火が出るよ〕
  げんね〔恥ずかし〕くて>げんねっせ  顔から>顔かい

「すんくじらにおらじ こっちき」
  〔隅っこにいないで,こっちに来い〕

「せからしやっが くっど」
  〔うるさい人が来るぞ〕

「たのかんさあ しっちょい?」
  〔田のかんさあ=この地域特有の田の神様を 知ってる?〕
  知っちょる>しっちょい

「ちんがらやっど うかぜのあとは」
  〔めちゃくちゃだよ 台風の後は〕

などに見られるように,ラ行音の変化が激しかったり,〔~くて〕を「~せ」と言ったり,長音が短くなるなど,鹿児島県の薩隅(さつぐう)方言に通じる特徴がよく現れています。都城は旧薩摩藩に属していましたから……。

 子供たちの方言の現状とはかなり差がありますが,彼らがそれを意識して周りの人たちに質問すれば,異世代間のコミュニケーションと交流を図る何よりの機会になります。

 「盆ジュール」でこのカルタの企画・制作を担当した内村学さんは,「皆さんに広く利用してもらい,子供たちにも喜んでもらっている」と,確かな手応えを感じています。

第33回 「方言かるた」あれこれ
第35回 方言かるた(おまけ)
第82回 新潟弁の方言カルタ―新方言「なまら」の使い方
第105回 魚沼方言かるた(新潟県魚沼市)
第210回 方言かるた3種(長野県)

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言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
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(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『魅せる方言 地域語の底力』日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
 大分大学名誉教授(日本語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと,“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986),「宮崎県における方言グッズ」(1991),「「~されてください」考」(1996),「方言によるネーミング」(2005),「福祉社会と方言の役割」(2007),『魅せる方言 地域語の底力』(共著,三省堂 2013)など。

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皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
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地域語の経済と社会 第338回 『もんげー 岡山!』でイメージアップ大作戦

2015年 10月 3日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第338回 『もんげー 岡山!』でイメージアップ大作戦

 岡山県は「晴れの国」というキャッチフレーズがあるように,瀬戸内・山陽路にあって,海と山の幸に恵まれ,気候も温暖な土地柄です。(第223回「『グルグルおかやまB級グルメ』で地域おこし」を参照)その岡山がいま,地元の方言「もんげー」をキーワードにして,県を挙げてキャンペーンを展開。岡山県の存在感と魅力をアピールしてイメージアップを図っています。

(クリックで拡大)
【写真1】PRポスターの1枚(提供:岡山県公聴広報課)
【写真1】PRポスターの1枚
(提供:岡山県公聴広報課)
【写真2】PRポスター 右・伊原木隆太知事,中・葛城ユキ,左・桃瀬美咲(提供:岡山県公聴広報課)
【写真2】PRポスター 右・伊原木隆太知事,
中・葛城ユキ,左・桃瀬美咲
(提供:岡山県公聴広報課)

 県の公聴広報課によると,2014年度から今回のこの取り組みをスタートさせました。その「シンボルになる語」の候補になったのは地元出身の3人が推薦する〔非常に〕を意味する岡山の方言で,インターネットを活用して投票(2014.9.9~9.15)を呼びかけました。ロック歌手=葛城ユキの推す「でーれー」,作家=岩井志麻子の推す「ぼっけー」(第269回「「ぼっけぇ」岡山」を参照),それにタレント=桃瀬美咲の推す「もんげー」の3語で競った結果,「もんげー」が48%の票を集めて1位になりました。2位「ぼっけー」,3位「でーれー」でした。(http://www.pref.okayama.jp/chiji/kocho/hareoka26/hareoka_2612/html/sp1.html参照)

 「でーれー・ぼっけー」に比べて「もんげー」は地元でも知名度は高くなく,テレビの人気アニメ番組『妖怪ウォッチ』に登場する,神社の狛犬(こまいぬ)の妖怪「コマさん」が口癖として発することばが「もんげー」で,これは全国的に知られており,特に子供たちや若い世代に親しまれていることなどが投票にも反映されたのではないかと見られています。

 地元の人たちにとっては,いわばダークホースの「もんげー」がキャンペーンのキーワードとして選ばれたのですから,ちょっと,否,でーれー意外な展開だったわけです。以後,「もんげー」を前面に押し立てて活動が繰り広げられることになりました。【写真1・2】 「でーれー」を推した葛城ユキも,PR用テーマソング『もんげー岡山!』では,方言の歌詞を力強く歌っています。

再生ボタンを押すと開始  http://youtu.be/QKuiGUtf9d0

 では「もんげー」とはどういう意味のことばでしょうか? 『日本方言大辞典』(小学館)で「もんげー」を探すと「ものげー」を見よとあり,その「ものげー」を見ると,意味は〔たいへん,ものすごく〕とあり,使用地域としては岡山県が,また異なる語形として「もんげー」には岡山県と香川県が,「もんがい」には岡山県が挙げてあります。

 県では伊原木隆太(いばらぎ・りゅうた)知事が先頭に立ち,PRに大層力を入れています。ディズニー映画とタイアップしたり,ロゴマーク(「もんげー」と言うときの口の形を象ったものの由)とバッジを作り,マークは誰にでも自由な使用を認めたり,岡山県のファンになって応援してくれる人を「もんげー部」の部員にしたり,さらには「晴れの国」にちなんで「8092人」を目標に「岡山に移住しませんか? 岡山県でもんげー未来を!」と,岡山に移住して来る人たちを広く募集しています。

 ふつうメジャーな方言があればそれを活用しそうなところですが,マイナーな語である「もんげー」を選んでの今回の“認知度向上とイメージアップ大作戦”。それが今後どういう効果を発揮するか,ぼっけー珍しいケースとして,方言研究の面からも注目されます。

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言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『魅せる方言 地域語の底力』日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
 大分大学名誉教授(日本語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと,“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986),「宮崎県における方言グッズ」(1991),「「~されてください」考」(1996),「方言によるネーミング」(2005),「福祉社会と方言の役割」(2007),『魅せる方言 地域語の底力』(共著,三省堂 2013)など。

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皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
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地域語の経済と社会 第333回 フリーマガジン『大分出張』

2015年 7月 25日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第333回 フリーマガジン『大分出張』

 大分には,出張で訪れる人たちのために,お勧めの場所や観光スポット,ホテル,店舗・飲食店,特産品・みやげものなどを紹介する情報誌=出張ビトのための大分満喫本『大分出張』(発行・編集 大分合同新聞社 季刊 32ページ)があります。空港や駅,観光案内所,大分市・別府市内のホテル,道の駅など,県内の主要なところに置いてあり,無料ですから,自由に持ち帰ることができます。毎回5万部が発行されているということです。

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【写真】『大分出張』vol.15の「大分方言特集」
【写真】『大分出張』vol.15の「大分方言特集」

 vol.15(2015年春号)では,特集記事のひとつとして「大分方言」を取り上げ,カルタ形式にして何枚かにはイラストも付け,4ページにわたって単語や表現とその意味・用例を紹介しています。【写真】

 この特集のねらいとして,「出張先のあるあるのひとつが方言が理解できないこと。取引先のお偉いさんの言葉がわからない。隣合わせた美人との会話が弾まない。地元の方言を使えば,ぐんと距離が近づくものです。個性あふれる大分の方言をカルタ形式でご紹介。これだけ覚えればあなたも大分県民に!?」とあります。

 元は地元紙『大分合同新聞』に「教えて! ぶんぶん【大分方言】」として2010年2月1日から2013年3月31日まで長期連載され,のちに約200語を加筆して『大分方言語録』(2014年3月 大分合同新聞社刊 約1300語を収録)として単行本化された本の中から取られています。(この連載について詳しくは,第93回 『大分合同新聞』の「方言連載」を参照)

 そのカルタの中からいくつかを紹介すると……「おうちゃきい」〔横着だ〕,「げさきい」〔下作な。下品な〕は共通語だと形容動詞で「~な」となるところですが,大分では形容詞形での言い方が一般的です。「あっちあられん」〔とうていあり得ない〕,「ぎゅうらしい」〔大げさな。仰々しい〕,「つるっとする」〔居眠りする。いつのまにか短い眠りに落ちる。まどろむ〕,「てれんぱれん」〔ちゃらんぽらん〕,「ぬれっと」〔隠れてずうずうしいことをするさま。しれっと〕,「ふうたらぬりい」〔①遅い,②生ぬるい〕などは,音の響きが独特で,いかにも方言らしい語感と印象を残すことばです。

 「なば」は〔①きのこ,②活力がない様子。普通「なばになっちょる」と使う〕とあります。「なば」はきのこ一般,特に大分の代表的な特産品のシイタケのことを指しますが,それがちょっとナーバスで元気のない状態を指す意味でも使われるとは,面白い表現です。

 「にごじゅう」も〔①(2×5=10のように)当たり前のこと ②無条件降伏すること〕という意味で年配の人の間では今も聞かれる表現ですが,よく語源・由来が話題になります。②無条件降伏すること,とはつまり〔お手上げ〕という意味ですが,両方の掌を顔の横で広げると5と5で10,それはまさに「お手上げ」のポーズですから,〔無条件降伏〕の意味あいになるのだと考えられます。これまた何とも面白い言い方です。

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『魅せる方言 地域語の底力』日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
 大分大学名誉教授(日本語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと,“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986),「宮崎県における方言グッズ」(1991),「「~されてください」考」(1996),「方言によるネーミング」(2005),「福祉社会と方言の役割」(2007),『魅せる方言 地域語の底力』(共著,三省堂 2013)など。

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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載です。

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この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。

地域語の経済と社会 第328回 若者向けの方言作品,オンパレード

2015年 5月 16日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第328回 若者向けの方言作品,オンパレード

 最近,若者世代を対象にした方言に関する商品が次々に登場しています。若い人たちには若い世代ならではのふだん着のことば=方言があり,それを駆使して,同世代の人たちにアピールして共感を呼んでいます。(『方言CD』甘口版・辛口版(第98回 若い女性が方言で愛を告白『方言CD』)も参照)

 今回紹介するのは,DVDやCD,写真やイラストなどの,方言を活かした作品群です。

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【写真1】①『方言女子』(マガジンハウス刊)
【写真1】①『方言女子』
(マガジンハウス刊)
【写真2】⑨『乙女心ねらい撃ち! 胸キュン★方言男子コレクション 47都道府県擬人化』(カンゼン刊)
【写真2】⑨『乙女心ねらい撃ち!
胸キュン★方言男子コレクション
47都道府県擬人化』(カンゼン刊)

 まず,①『方言女子』は全国各地の若い女性46人の写真とDVD(60分)とが付いた1冊で,その土地の若い世代の方言で,目に耳に語りかけてきます【写真1】。

 DVDでは『方言彼女。』『方言彼氏。』があります。元はテレビ番組として好評を博し,それをDVD化したものです。チャーミングな乙女を主人公にした②『方言彼女。』は,『方言彼女。』甲盤・乙盤,『方言彼女。2』華盤・雅盤,『方言彼女。0[LOVE]』起盤・承盤・転盤・結盤があり,イケメン男子を主人公にした③『方言彼氏。』には「キュート版」と「スイート版」があります。

 CDでは,④ドラマCD『方言恋愛』シリーズがあり,1.愛知・高知,2.京都・山口,3.新潟・福岡,4.長野・茨城,5.香川・福島,6.兵庫・石川まで出ています。それぞれの土地の若者世代の方言を活かした青春ラブストーリーが展開しています。それを再編集した,⑤ラジオCD『方言恋愛』には3県ずつ入っていて,1.愛知・山口・新潟,2.長野・福島・広島,があり,これには新たに各県の県民性クイズや方言講座など,先の「ドラマCD」とはまたひと味違ったものが含まれ,それぞれ熱く地元愛を語る内容になっています。番外編として,⑥語りかけCD『恋する方言(ことば) 方言恋愛 side B 金沢編』もあります。

 また⑦「ドラマCD」と銘打った『方言男子 りとる・じゃぱん』で活躍しているのは,横浜・尾張・土佐・浪速・備後出身の声優たちです。さらに続編も2本作られています。

 他に,地方制作のCDでは⑧『方言少女 鹿児島弁』があり,「もぜか」〔かわいい〕少女の語りかけを聞くことができます。

 次に,本のほうでは,⑨『乙女心ねらい撃ち! 胸キュン★方言男子コレクション 47都道府県擬人化』は,キャッチフレーズに「イケメンが方言を話すと萌える!」「乙女のための1冊」「47人すべての男子が訛(なま)っています!!」とあり,全国の方言を擬人化して描き,各都道府県の方言の特徴を目から訴えかけてきます【写真2】。また,その続編もあります(第214回 「胸キュン方言」)。

 同じく本では⑩『方言男子 おら、おめが好きだ』(マンガ)があり,自分の熱い思いを方言で意中の彼女に訴える7つのストーリーが収録されています。

 こうしてずらっと並んだ27種を見ていると壮観で,「方言作品」花盛りの感があります。若者世代では「方言」を《それぞれの地域らしさを表す個性,自分たちの思いを率直に表現する本音のことば》だとプラスに捉えていることが共通点として浮かび上がってきます。かつて,《方言は古くさい,垢抜けない》などとマイナスで否定的な評価をされがちでした。地方出身者にとってはそれが劣等感やコンプレックスを抱く大きな要因だとされていましたが,近年はそれが正反対になり,《「方言」はむしろ貴重で地域文化を象徴し代表するもの》として,見方にも評価にも大きな転換,逆転現象が起こっていることを強く感じます。

 その背景として,方言が衰退しつつあることへの危機感と,若者世代が共通語を十分使いこなせるようになり,必要に応じていつでも話すことができるという自信と余裕が備わり,《自らの方言には希少価値があるのだと,誇りに思う気持が生まれてきた》からだと捉えることができるでしょう。時代の流れと意識の変化が伝わってくる事例の一つです。

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『魅せる方言 地域語の底力』日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
 大分大学名誉教授(日本語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと,“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986),「宮崎県における方言グッズ」(1991),「「~されてください」考」(1996),「方言によるネーミング」(2005),「福祉社会と方言の役割」(2007),『魅せる方言 地域語の底力』(共著,三省堂 2013)など。

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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載です。

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地域語の経済と社会 第323回 方言調査のお礼に『「ありがとう」の方言手拭い』

2015年 3月 7日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第323回 方言調査のお礼に『「ありがとう」の方言手拭い』

 全国各地の伝統的な方言が,マスメディアや学校教育の影響などで変容が進んでいるのはよく指摘されることですが,そういう状況を前にして,方言研究者たちはいま精力的に方言調査を進めています。

 話し手の皆さんが,貴重な時間を割いて熱心に方言を教えてくださったことに対する感謝の気持ちを表し,お礼として差し上げるには何がいいのか,研究者たちはあれこれ考え,それぞれに苦心し工夫しています。

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【写真1】全国の「ありがとう」を地図化した方言手拭い
【写真1】全国の「ありがとう」
を地図化した方言手拭い
【写真2】同様なデザインのクリアファイル
【写真2】同様なデザインのクリアファイル

 【写真1】はその一例で,全国の方言での「ありがとう」を意味するあいさつことばを記号化し,日本地図の上にプリントしたものです。方言研究者の竹田晃子(たけだ・こうこ)さんが方言調査のお礼・記念用にと作ったものです。これを包装した袋には,出典や語形について簡潔な解説を付けた説明書も添えられています。

 載っている方言は,各地域から代表的な定型表現を選び,北は北海道のスミマセン,ドーモ,ゴチソーサマ,東北のオーキニ,メーワクカケタ,モッケダ,ショーシ,タイヘンダ,関東のスミマセン,中部地方のゴチソーサマ,スミマセン,ショーシ,北陸のキノドク,関西~四国のオーキニ,ダンダン,中国地方のダンダン,タエガタイ,九州のオーキニ,ダンダン,スミマセン,そして沖縄のオボラ,ニヘー,タンディガータンディ,フコラサまでの都合15の語形が並んでいます。

 併せて,外国語の英語,スペイン語,ロシア語,ポルトガル語,フランス語,ドイツ語,イタリア語,中国語(簡体字・繁体字),それに韓国語の〔ありがとう〕も並べてあります。

 また,これとは別に,同じようなデザインのクリアフォルダー【写真2】もあります。

 いずれもささやかなものではありますが,お金で買えないものを……と,方言にちなんだ品々を独自に作り,それをお礼の品の一つとして,あるいは記念品として差し上げると,けっこう喜ばれます。調査が終わった後,感謝とお礼のことばに添えて渡すと,これに載っている方言がきっかけになって,またその土地の方言についての話がひとしきり弾みます。

 お礼の品として,もちろん手や汗を拭く厚手の西洋タオルの場合もありますが,こういう方言地図や特徴的な方言を印刷するには日本手拭いのほうが好都合です。それに,持ち運ぶのにもかさばらずに重くなく,お菓子などのように賞味期限や日持ちのことを心配しなくていいですし,何より店で売っているものではありませんから,珍しいというのも大きな利点です。内容も方言に関する事柄ですから,もらったほうの話し手の皆さんも思い出のよすがになり,方言調査の何よりの記念になります。

 また,方言について書かれた一般向きの本,例えばこの連載を単行本化した『魅せる方言』なども,本好きの方には喜ばれますし,格好のお礼候補の一つになります。

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 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『魅せる方言 地域語の底力』日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
 大分大学名誉教授(日本語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと,“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986),「宮崎県における方言グッズ」(1991),「「~されてください」考」(1996),「方言によるネーミング」(2005),「福祉社会と方言の役割」(2007),『魅せる方言 地域語の底力』(共著,三省堂 2013)など。

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皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
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地域語の経済と社会 第318回 新潟県長岡市の方言ネーミング

2014年 12月 20日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第318回 新潟県長岡市の方言ネーミング

 今から10年前の平成16年(2004年)10月23日,新潟県中越地方はマグニチュード6.8の直下型の非常に強い地震に見舞われ,特に山古志村(現長岡市)や長岡市,小千谷市,十日町市などでは大規模な地滑りがあちこちで発生し,甚大な被害が発生しました。

 この地震のことを長く記憶にとどめ,今後の同様の災害に備えて体験を語り継いでいこうと,「中越メモリアル回廊」と名付けて7つの震災関連施設が整備されています。

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【写真1】「おらたる」のステッカー
【写真1】「おらたる」のステッカー
【写真2】「アオーレ」のロゴデザイン
【写真2】「アオーレ」のロゴデザイン

 その一つに,山古志村の①「やまこし復興交流館おらたる」があります。この「おらたる」は,愛称として公募した1,011通の中から選ばれたもので,「おらたる」とは,〔私たちの場所〕(おら=私たち,たる=~のあたり)という意味です。現在ではもう高齢の人でないと使わないことばだそうですが,地域の人たちがここに集い,多くの来訪者に訪れてもらい,みんなにとっての「私たちの場所」になってほしいという願いを込めて,地域の人たちを中心とした審査員が選んだものです。【写真1】

 地元の人たちに訴える力が強いのは何と言っても「方言」で,東日本大震災に見られるその事例が,この連載にも,単行本にした『魅せる方言 地域語の底力』にも,多数紹介されています。

 また,長岡駅前にある長岡市役所などが入った複合交流施設②シティホールプラザ「アオーレ長岡」【写真2】も方言にちなんで命名されています。「アオーレ」とは地元の方言で〔会いましょう〕を意味する「会おうれ」から来ています。名称公募に全国から寄せられた5,552件の中から候補を3つに絞り,その中から一般の投票によって一番人気の高かった「アオーレ」に決まったものだということです(平成21年12月)。(第170回「方言カレンダー(新潟県長岡市)」も参照)

 その施設内にある「ながおか市民協働センター」の広報誌③『らこって』(季刊)も方言に由来し,誌名の説明には「「らこって」という名称には,相手の話に共感した時にでる長岡弁「そうらこって」のように,この情報誌を通してお互いが共感し合い,つながり,長岡の市民活動が広がるように,との思いが込められています」とあります。

 新潟の方言では,ダ行音がラ行音化するのが特徴の一つです。後の2例も「会おうで ⇒ アオーレ」「そうだこって⇒(そう)らこって」の変化と見ることができるでしょうか。

 以上、いずれも地元の方言にちなんだ命名ですが,ちょっと外国語のような響きも感じられて,耳に残ります。“その土地らしさ・地元ならでは”という個性を強くアピールするのに,「方言」は格好の素材の宝庫だと言えます。しかし,だからといって,泥くさくてはマイナスです。垢抜けていてスマートであることも必須の要件の一つでしょう。これまでにこの連載で紹介した事例をそういう目で見直すと,共通項が見えてきそうです。

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日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
 大分大学名誉教授(国語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと、“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986)、「宮崎県における方言グッズ」(1991)、「「~されてください」考」(1996)、「方言の有効活用」(1996)、「医療・福祉と方言学」(2002)、「方言によるネーミング」(2005)、「福祉社会と方言の役割」(2007)など。

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皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
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地域語の経済と社会 第313回 大分市のメガネ店の方言での広告案内板

2014年 10月 11日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第313回 大分市のメガネ店の方言での広告案内板

 大分市の商店街を歩いていたら,メガネ店の前で,方言で書かれた大人の肩ほどもある大きな広告案内板に出会いました。両面に違った内容が書いてあります【写真1・2】。その片方の文章を紹介し,元の案内板にはありませんが,共通語訳を添えておきます。

メガネ洗ろうて行かんかえ
メガネがそげえ汚れちょったらせっかくんベッピンさんが
台無しじゃが。むげねえの~。はよ店ん中入っち洗うちもらいよ。
汗やら汚れがおちて真剣見ゆるごとなっち、
そうとう品がよーなるで~。サービスやけんタダで。
『 洗ろ~て 』ち言うて、中入いっちみてん!

【共通語訳】
メガネを洗っていきませんか
メガネがそんなに汚れていたら,せっかくの別嬪さんが
台無しだよ。かわいそうになぁ。早く店内に入って洗ってもらいなさいよ。
汗やら汚れが落ちて,本当によく見えるようになって,
相当上品になるよ~。サービスだからタダだよ。
『 洗って 』と言って,中に入ってみなさいよ!

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【写真1・2】メガネ店店頭の広告案内板(両面)
【写真1・2】メガネ店店頭の広告案内板(両面)
【写真1・2】メガネ店店頭の広告案内板(両面)

と,呼びかけています。夕方になると中に入っている照明が点灯し,さらに存在感が増してきます。ならばと,早速店に入って店主にいろいろとお話を聞きました。

 「手書きでこれだけたくさんの字を書き込むのは大変でしょう」と問うと,「実は,ワープロで作って拡大してはめ込んでいます。手書きのように見えますが,この字体は自分で作ったものです。これまでの“作品”も全部ハードディスクに残してあります」とのこと。

 7年ほど前から始めたそうで,店の前を通りかかった人がこれを見て立ち止まって読んでいたり,店内に入ってきて,同じような質問を受けたりすることがあるとのこと。「耳になじんだ地元の方言ですから,目で読んでもそれだけ印象が強く,皆さん,けっこう気になるようですねぇ」と笑って説明してもらいました。次作ができたら適宜交換している由。

 共通語での「どうぞお気軽にお立ち寄りください」とか「メガネのことなら何でもご相談ください」という呼びかけとはやはりインパクトが違い,それだけ人の目にとまりやすく,足を止めさせ,さらには店内に呼び込むだけの”吸引力”があるということでしょう。方言作戦大成功! と言ったらいいでしょうか。

 文案を考えるときには,まず冒頭の見出しの表現=「つかみ」を大事にし,説得力がある内容と表現になることをめざして,わかりやすく親しみやすい説明になるよう心がけているということです。なお,初めに原案は共通語で作り,それを元にして地元・大分の方言らしいメッセージになるよう手を加えて仕上げているということでした。

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