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地域語の経済と社会 第186回 「続続土佐日記」
2012年 1月 28日 土曜日 筆者: 田中 宣廣地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第186回 「続続土佐日記」
高知で調査した方言の拡張活用例の報告の3回目です。
高知方言の「こじゃんと」を取り上げます。
「こじゃんと」には,二つの意味があります。一つは,数もしくは量の多いこと(共通語なら「たくさん」)です。もう一つは,程度の甚だしいこと(共通語なら「とても」)です。「こじゃんと」は,二つの意味の両方ともで,拡張活用されています。

左:【写真1 龍馬も雅治も『こじゃんと』】
右:【写真2 大とっくりで『こじゃんと』】

【写真3 『こじゃんと』おるき】

【写真4 子どもも『こじゃんと』】

【写真5 『こじゃんと』安心】

【写真6 締めは『こじゃんと』】
はじめに,数また量の多いことの拡張活用例です。まず,“「龍馬」も?「雅治」も『こじゃんと』飲みゆう”【写真1】は,一昨年のNHK大河ドラマに重ねたメッセージですね。(用例の引用に『こじゃんと』は,二重カギ括弧『 』で挟みます。以降同じです)“『こじゃんと』飲んでよ”【写真2】も,同じような用法です。また,“土佐の海には旨い魚が『こじゃんと』おるき ”【写真3】と,食品そのものでなく,食材でのアピールも,とても興味深い用例です。
次に,程度の甚だしいことの拡張活用例です。まず,土佐名物「(カツオなど魚の)たたき」の広告です。“いろんな魚をタタキで食べたら『こじゃんと』おいしい!”【写真4】は,女の子,つまり,子どもに発言させた例です。方言は古いもの,あるいは,年寄りだけのもの,という先入観を逆手にとった(もしくは,誤りとしての先入観を正した)拡張活用法だと思います。これは,幟になっていますが,卓上版もあります【写真4をクリックして表示】。また,共済の広告“『こじゃんと』! 安心!”【写真5】は,高知出身者ではない私から見ましても,高知の人が本当に全面的に頼って安心する感じがよく伝わってきます。おしまいの例は,一昨年(2010年)1月に開催されました「土佐・龍馬 であい博」のポスターです。“高知は『こじゃんと』うまい!”とありますが,「こじゃんと」のところだけ白抜きにして強調しています【写真6】。ポスターの大部分を,いろいろな高知方言で表現し,結びのまさしく《締め》に「こじゃんと」を使っています。この使い方からも,高知の人にとりまして「こじゃんと」は,代表的な高知方言(土佐弁)であることが理解できます。
なお,私は,高知出身の先輩より,昨年末に土佐文旦(とさぶんたん:柑橘果物の一種)を「こじゃんと」贈っていただきました。「こじゃんと」おいしいものでした。
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【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
田中宣廣(たなか・のぶひろ)
岩手県立大学 宮古短期大学部 准教授。博士(文学)。日本語の,アクセント構造の研究を中心に,地域の自然言語の実態を捉え,その構造や使用者の意識,また,形成過程について考察している。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。著書『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』(おうふう),『近代日本方言資料[郡誌編]』全8巻(共編著,港の人)など。2006年,『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』により,第34回金田一京助博士記念賞受賞。『Marquis Who’s Who in the World』(マークイズ世界著名人名鑑)掲載。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載です。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
地域語の経済と社会 第181回 「続土佐日記」
2011年 12月 17日 土曜日 筆者: 田中 宣廣地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第181回 「続土佐日記」
高知で調査した方言の拡張活用例の報告の続きです。
高知県出身の若者(特に県外の大学に進学している高知県出身の大学生)に,ふるさとに戻って就職してもらうための,幟がありました。私は,勤務校で学生の就職支援の担当をしているので,高知市内のジョブカフェに立ち寄り,すぐ目に止まりました。
「帰ろう! 変えろう!」です【写真1】。全く同音の二つの文で,リズムを出しています。(左の「高知県」とは,これが県庁の事業なので,実施主体名を示しているもので,メッセージとは別のものです)殊に,その第2文において高知方言をとても上手に活用することにより,全体として,「ふるさとに戻って来て将来も高知県を支えてもらいたい」という意図が,高知県出身の若者によく伝わる方言メッセージとなっています。
第1文の「帰ろう」は共通語と同じですね。第2文の「変えろう」は,共通語では「変えよう」となるところですね。動詞「変える」が下一段活用なので,共通語では勧誘の助動詞は「―よう」が着きます。高知方言では,そこが違うのです。
「変える」のような一段活用動詞の,意志勧誘の表現では「―ろう」が着きます。この事象について,共通語との違いは,意志勧誘の助動詞の違い(「―よう」と「―ろう」)と見るか,鹿児島方言などのような,共通語で一段活用の動詞のなかの,「ラ行五段活用」になっている例と見るかは,意見が分かれます。というのは,鹿児島方言などでは,全活用形を通して五段活用化が認められるのに対し,高知方言では,意志勧誘表現だけにラ行(ロ)が出てくるからです。もし,「変えらん」「見らん」「食べらん」(打ち消し)などの例があれば,五段活用化とはっきりするのですが,高知では,「変えん」「見ん」「食べん」となりますので,助動詞の違いという考えも出てくるのです。このような高知方言の事象を,上手に活用した方言メッセージとなっています。
なお,高知県庁のウェブページ内でも,このメッセージと趣旨について説明しています。URLは,http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/151301/kaerou.htmlです。
また,この幟は,ジョブカフェで扱っている職種(事務系や営業系)のほか,第一次産業にもあり,各業種で色を変え,全部で5種類あります【写真2】。高知空港のロビーに全種類掲示されていました。
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【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
田中宣廣(たなか・のぶひろ)
岩手県立大学 宮古短期大学部 准教授。博士(文学)。日本語の,アクセント構造の研究を中心に,地域の自然言語の実態を捉え,その構造や使用者の意識,また,形成過程について考察している。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。著書『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』(おうふう),『近代日本方言資料[郡誌編]』全8巻(共編著,港の人)など。2006年,『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』により,第34回金田一京助博士記念賞受賞。『Marquis Who’s Who in the World』(マークイズ世界著名人名鑑)掲載。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
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地域語の経済と社会 第176回 「土佐日記」
2011年 11月 12日 土曜日 筆者: 田中 宣廣地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第176回 「土佐日記」
皆さんは,紀貫之の『土佐日記』,もちろん知っていますね。今回は,その「土佐日記」になぞらえて,高知方言の拡張活用例のうち方言メッセージの例を紹介します。
10月に高知で開催された日本方言研究会で,この研究について発表しました。その滞在中に調査した例です。

【写真1 三志士像のパネル】

【写真2 龍馬の案内】

【写真3 龍馬ふるさと博公式パンフ】

左:【写真4 龍馬ふるさと博幟】
右:【写真5 せんたくするなら】

【写真6 携帯端末を案内する龍馬】

【写真7 高知電気ビル本館工事現場
防護壁(部分=ジョン万次郎)】
まず,文末表現の「~ぜよ」の付いた例が目立ちます。高知方言の代表と考えられていることが分かります。
高知空港に着きますと,三志士像(高知駅前:龍馬,武市半平太,中岡慎太郎)のパネルが出迎えます。「三志士像が待ちゆうぜよ」のメッセージが大きく書かれてあります【写真1】。空港ビル2階の「土佐メモリアルスクエア」の案内看板には,龍馬が「2階に、わしの土佐メモリアルスクエアもあるぜよ!! ぜひ見ていっとうせ」と案内しています【写真2】。
現在開催中の「志国高知 龍馬ふるさと博」の公式パンフレットの表紙にも「秋の高知はうまいぜよ!」と大きく書かれています【写真3】。
この「~ぜよ」に,坂本龍馬の名言「日本を今一度せんたくいたし申候」の「せんたく(洗濯)」を組み合わせた例もあります。
上の「龍馬ふるさと博」の幟では「心とからだのせんたくぜよ」【写真4】と,また,ミス高知大学の看板には「せんたくするなら国より美女ぜよ」と使われていました【写真5】。
また「~とおせ」の用いられた例も多くありました。上の空港の案内もそうですし,携帯端末による観光案内の宣伝【写真6】など,多くの例を認めました。ただし,高知大学の久野眞教授によりますと,この表現は,本来は目下の者に向かって「~ちょうだいな」と軽く願う意で,拡張活用例では目上に使うようになっているものが多く,本来用法からは外れているということです。
そして,2013年3月の完成を目指して,現在建て替え工事中の高知電気ビル本館の工事現場の防護壁には,高知方言メッセージの長いお話が描かれています【写真7】。すべて,土佐出身の歴史的人物の龍馬ふるさと博のキャラクターイラストに語らせています。
今回紹介した例は,偶然にも坂本龍馬が関連していましたが,高知方言の拡張活用例は,最近話題の“龍馬語”に限られてはいません。もちろん,龍馬と無関係のものも多くあります。念のため。
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言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
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田中宣廣(たなか・のぶひろ)
岩手県立大学 宮古短期大学部 准教授。博士(文学)。日本語の,アクセント構造の研究を中心に,地域の自然言語の実態を捉え,その構造や使用者の意識,また,形成過程について考察している。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。著書『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』(おうふう),『近代日本方言資料[郡誌編]』全8巻(共編著,港の人)など。2006年,『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』により,第34回金田一京助博士記念賞受賞。『Marquis Who’s Who in the World』(マークイズ世界著名人名鑑)掲載。
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方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載です。
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地域語の経済と社会 第171回 動く「方言エール」~東日本大震災復興の方言メッセージ(4)
2011年 10月 8日 土曜日 筆者: 田中 宣廣地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第171回 動く「方言エール」~東日本大震災復興の方言メッセージ(4)

【写真1 方言エールTシャツ初期の例】
(クリックで拡大)

【写真2 大きく「がんばっぺ」】
(クリックで拡大+ステッカーも)

【写真3 ローマ字でも「Ganbappe」】
(クリックで拡大+袖も)

左:【写真4 Tシャツを見る人も頑張ります】
右:【写真5 まさしく復興メッセージです】
(クリックで拡大)

【写真6 高速バスの「けっぱれ」】
(クリックで全体を表示)
今回は,“動く”方言エールを紹介します。ポスターや看板などの,場所が固定された掲示物と異なり,動くので,見る人も多くなります。
まずTシャツです。第156回に「②F がんばっぺす! みやこ(Tシャツ)」【写真1】(第156回での写真はクリックでエールの部分だけ表示されます)を紹介しましたが,最近,方言エールをプリントしたTシャツが多く見られます。Tシャツなので,着ている人が動けば,方言エールも一緒に動きます。
方言エールは,胸側,背中側の両方ともあります。第156回で紹介した例は左胸に小さく(楕円の長径約10cm)ですが,最近のものは,胸側でも背中側でも大きく描いています。
描かれる方言エールは,基本的なもので,上の「がんばっぺす! みやこ」や「がんばっぺ東北」【写真2】があります。「がんばっぺ東北」は関連するステッカー類も発売されています【写真2~クリック】。
また,ローマ字の「Ganbappe 3.11」【写真3】もあります。袖にはかなと漢字の表記もされ,やはり,ステッカーもあります【写真3~クリック】。
派生形もあります。たとえば,近年流行の当て字的な書き方による「顔晴っぺ宮古」です。読み方は,「ガンバッペ」ですが,この書き方には,顔が晴れ晴れするように,悲しみを乗り越えて,の意味があるといいます。
別のことばでは,「負げねぞ釜石」や「がんばっつぉ!! 宮古」【写真4】があります。
方言ではなく,なんと英語も登場しました。「REVIVE MIYAKO」(私の訳で『よみがえれ宮古』とします)【写真5】です。岩手県宮古市に救援に駆けつけた各都道府県警察に感謝したTシャツです(「MPD」は,Metropolitan Police Department=警視庁=東京の警察)。
“動く”と言えば,バスもありました。高速バスの後ろに「けっぱれ! 東北!!」とありました【写真6】。
現在,Tシャツは,10枚程度から,オリジナルを注文して作成できます。ユニフォームにしているグループも多くあります。つまり,方言エールTシャツは,いくらでも作ることが可能なのです。バスに出会うことがあるかもしれません。皆さんも見つけましたら,私たちに教えてください。
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言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
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田中宣廣(たなか・のぶひろ)
岩手県立大学 宮古短期大学部 准教授。博士(文学)。日本語の,アクセント構造の研究を中心に,地域の自然言語の実態を捉え,その構造や使用者の意識,また,形成過程について考察している。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。著書『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』(おうふう),『近代日本方言資料[郡誌編]』全8巻(共編著,港の人)など。2006年,『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』により,第34回金田一京助博士記念賞受賞。『Marquis Who’s Who in the World』(マークイズ世界著名人名鑑)掲載。
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地域語の経済と社会 第166回 『方言エール』~東日本大震災復興の方言メッセージ(3)
2011年 9月 3日 土曜日 筆者: 田中 宣廣地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第166回「『方言エール』~東日本大震災復興の方言メッセージ(3)」
第146回と第156回で東日本大震災の被災地における方言エールを報告してきました。
第156回においては,その類型を考察し,構成は「エール+地名」が基本であることがわかりました。
エールの意味には,発信源と被災者の立場の関係も的確に反映されています。地元の人が発信源なら勧誘(がんばっぺし,他),外部からの救援の自衛隊のものでは意志(まげねど)の他,命令(けっぱれ)がありました。

【写真1 芸能人の方言エール】(クリックで拡大)

【写真2 那覇太鼓のチバリヨー】(クリックで全体表示)

【写真3 高校文化祭のポスター】(クリックで全体表示)

【写真4 図案化された方言エール】(クリックで拡大)
今回は,方言エールの考察の3回目として,その応用例について考えます。
外部から被災地を訪れる方は,震災直後からは救援隊でした。それが,先日,自衛隊が完全撤退するなど,救援の段階は,ひとまず収まりました。今は,全国各地からの警察の応援やボランティアといった支援隊,そして,芸能人やその他の激励の皆さんです。その激励の皆さんも,方言エールをくださいました。
芸能人は,訪れた先で色紙にサインを残しますが,それに方言エールを添えた例が多数あります。発信源は外部からの激励者ですが,訪問した被災地(今回の例は,岩手県宮古市)の方言「がんばっぺ(す)」による方言エールです。【写真1】
また,激励者側の地域の方言を使った珍しい例もあります。沖縄の「那覇太鼓」の大きな日の丸です。沖縄の方言で「チバリヨー東北」です。岩手県内各地では8月にエイサーなどを披露しました。【写真2】~寄せ書きは,被災者たちの感謝の言葉です。同団体のWebページ内には,元の図案の画像があります。
それと,被災地発信のものも,二つの方向に発展(進化)しています。
一つは,構成の応用です。岩手県立宮古高校の文化祭のポスターの方言エール「ガンバッペ宮高」は,「エール+校名」になっています。最初は基本の「エール+地名(宮古)」だったのを,後に修正したものです。あまりに多い「ガンバッペ宮古」のままとせず,独創性が出ています。【写真3】
もう一つはデザイン化です。第156回の写真2の岩手県宮古市の方言ステッカーでその萌芽が見られ,第161回の写真1の岩手県陸前高田市の「がんぱっぺし」では,現在の同市の象徴としての希望の一本松を中心に実に整った図案となっています。
宮古市でも,陸前高田市の例にもあった方言エールのローマ字表記を混ぜる方式が採用された図案が用いられています。【写真4】
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地域語の経済と社会 第161回 復活を期す方言の有効活用例
2011年 7月 30日 土曜日 筆者: 田中 宣廣地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第161回「復活を期す方言の有効活用例」
第151回で「東日本大震災の被害」を報告しました。
それらのなかにも,再起を期すものや現実に活動を再開したものがあり,今回は,それらの例を紹介します。

【写真1 おらほの味噌】(クリックで全体表示)

【写真2 南リアス線のケセン語メッセージ】
(クリックで他も表示)

【写真3 シートピアなあど】
(クリックで全景表示)

【写真4 靴店跡で「なあど」の名で再開】
(クリックで全景表示)

【写真5 仙台いちご】
(震災前の2009年に撮影;クリックで全体表示)
[1]岩手県陸前高田市八木澤商店「おらほの味噌」【写真1】
第151回での被災状況の報告のとおり,同市は市内の平地部分が壊滅してしまいました。
そのなかで同社は,同業者の支援も得て企業活動を再開しています。再開製品には高田松原約7万本のうち1本だけ残った希望の一本松をあしらった「がんばっぺし(GANBAPPESHI IWATE・RIKUZEN TAKATA)」の方言エールを着けています。
[2]三陸鉄道(南リアス線,第81回で紹介)【写真2】
同線も津波の被害を受けました。そのなか,1編成が,鍬台(くわだい)トンネル(全長3,907m)に取り残されたため無傷で,6月24日,最寄りの吉浜(よしはま)駅(大船渡市)に回送されました。復旧には数年を要するということですが,同線は路線の大部分が高台を通り,津波被災地の全滅状態の鉄道では早い復旧が期待されます。
また,同回で紹介した恋し浜(こいしはま)駅(大船渡市)も高台に位置し,健在です。
[3]岩手県宮古市「シートピアなあど」【写真3】
方言ネーミングの複合施設です。「なあど」とは,同地の方言で「どうして」「なぜ」「どのようにして」という意味です。古代語の「なでふ」(読み方[ナジョー])に由来します。
同施設は海に面していて津波の被害は甚大かつ深刻です。それでも,従業員の的確な誘導により,従業員や客など全員が近くの高台に避難して人的被害はありませんでした。私のゼミの卒業生が従業員で,あと数分遅かったら危険であったとの話でした(彼女の実家は流失)。
施設全体は営業停止中ですが,そのなかの一部,農産物産直部門だけ,場所を変えて営業を再開しました【写真4】。
[4]宮城県「うまいっちゃ! みやぎ亘理 仙台いちご」【写真5】
方言メッセージ入りの亘理町(わたりちょう)と山元町(やまもとちょう)の名産のいちごです。産地の94%と箱詰め場(亘理町)が壊滅的被害を受けました。しかし,被害を免れた地区を中心に出荷を継続しています。詳しくは,宮城県亘理農業改良普及センターの「仙台いちご出荷継続のニュース」で報告されています。
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地域語の経済と社会 第156回 「『方言エール』~東日本大震災復興の方言メッセージ(2)
2011年 6月 25日 土曜日 筆者: 田中 宣廣地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第156回「『方言エール』~東日本大震災復興の方言メッセージ(2)」
第146回で「『地域語の力』~東日本大震災復興の方言メッセージ」として,「がんばっぺ高田!!」などの例を紹介しました。この活用法を「方言エール」と呼びましょう。
震災直後に,生存者が命をつなぐ,という切実な状況下で自然に出て,3ヵ月経過し,手作りから業者製品になってきました。
下の代表例の表の①②③(第146回と同じ分類)をご覧ください。方言エールは,表現が類型化されています。構成は「エール+地名」が基本です。エールの部分は,各分類で傾向があります。自衛隊では,命令形「けっぱれ」や勧誘の「がんばっぺ」(第146回で紹介)のほか,意志の「まけねど!女川・石巻」もあります。企業や個人では,ほとんどが勧誘です。「おらもがんばる」は意志のようですが,「-も」により全体は勧誘の意です。
①自衛隊【写真1=①A】
記号 エール 掲出者,掲載場所 ①A けっぱれ!岩手・山田町 陸自(岩手),岩手県山田町役場 ①B けっぱれ!岩手 陸自(岩手),岩手県大槌町内避難所 ①C けっぱれ!岩手 陸自(青森),岩手県宮古市内避難所 ①D まけねど!女川・石巻 陸自(香川),宮城県石巻市
②企業など【写真2=②A】
②A がんばっぺす宮古 株式会社文化印刷,岩手県宮古市 ②B おらもがんばる 同上,同 ②C みんなでがんばっぺす宮古 ジョイス宮古千徳店,同 ②D ガンバッペシ山田宮古! 咖喱〔カリー〕亭,同 ②E がんばっぺす三陸 けっぱれ宮古 ガソリンスタンド,同 ②F がんばっぺす!みやこ(Tシャツ) 販売員,同 ②G がんばっぴし宮古 高屋敷整骨院,同 ②H 大船渡やっぺし祭り(ポスター) 同祭実行委員会,岩手県大船渡市
③個人作製【写真3】
③A 頑張っぺ 福島・東北・日本(ワッペン) 非営利会システム FRIENZ会
④関連(支援や謝辞)方言メッセージ【写真4=関A】
関A おでんせ ふじ丸 客船ふじ丸=被災民への食事やカラオケの提供支援 関B どうも おおきに 宮古駅前交番=救援隊への謝辞と慰労 関C およれんせ!末広町 宮古あきんど復興市=津波被災商店街のイベント
地域語は,厳しいとき人々を元気づけるのに共通語より直に心に響きます。私自身も,被災地生活者の一人として再建に努力します。
なお,第151回で方言の有効活用例の震災被害を報告しましたが,大きな損傷を免れたり,業務再開に向け努力している例もあります。それらを第161回で紹介する予定です。
* * *
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【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
田中宣廣(たなか・のぶひろ)
岩手県立大学 宮古短期大学部 准教授。博士(文学)。日本語の,アクセント構造の研究を中心に,地域の自然言語の実態を捉え,その構造や使用者の意識,また,形成過程について考察している。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。著書『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』(おうふう),『近代日本方言資料[郡誌編]』全8巻(共編著,港の人)など。2006年,『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』により,第34回金田一京助博士記念賞受賞。『Marquis Who’s Who in the World』(マークイズ世界著名人名鑑)掲載。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載。
この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。
地域語の経済と社会 第151回 東日本大震災の被害
2011年 5月 21日 土曜日 筆者: 田中 宣廣地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第151回「東日本大震災の被害」
3月11日の東日本大震災により,たいへん悲しいことながら,これまで紹介してきた,方言の有効活用例や関連企業などに大きな被害が出ました。今回は,その報告をします。
第131回の「とびゃっこメモ帳」を発行していた岩手県陸前高田市のタクミ印刷は,本社を失いました【写真1】。
津波の後の陸前高田市中心部の壊滅状況をテレビ等でご覧になった人も多いと思います。同社の本社はその中央部にありました。社員の皆さまは全員無事であったことが,インターネット情報やテレビ報道で伝えられました。
第101回「『市』を挙げての方言メッセージ~『おおきに』と『おでんせ』」の岩手県宮古市役所前庭の「おおきにとおでんせ」のポールは,無惨になぎ倒されました【写真2】。
方言メッセージの書かれた面は,ほんのわずか残りました【写真3】。
市役所本館は,津波が直撃して大きく損傷しました【写真4】。宮古市役所は,第121回「かだる」で紹介した「宮古゛さ かだれんせ」の山車を出したところでもあります。
第46回「『かきくけこ』―5文字で完結する観光の方言メッセージ―」の岩手県山田町は,津波で町の中心部が壊滅したあと,火災も発生し,まさに焼け野原となってしまいました。牡蠣祭りの開催場所である魚市場は,海に面しているため大破しました。歓迎の方言メッセージを掲げていたJR山田線「陸中山田」駅は焼失し,方言メッセージも灰燼に帰しました【写真5】【写真6】。


左:【写真5 陸中山田駅の惨状(筆者撮影;①印が第46回の【写真4】の看板のあった位置)】
(クリックで周辺の様子も拡大表示します)
右:【写真6 陸中山田駅駅舎(筆者撮影;②印が第46回の【写真5】の横断幕のあった位置)】
これまでの紹介にはないものですが,陸中山田駅近くの飲食店のネーミング袖看板「おでんせ」【写真7】も火災で焼失しました。残念ながら,この写真が貴重な記録となってしまいました。
ところで,震災からこの地方の復興が成し得たと言えるのはどの時点なのでしょうか? 私は,とびゃっこメモ帳の続きが発行されたり,失われた方言メッセージが戻ったときが一つの節目かと思います。
例えば,駅の歓迎メッセージなら,町を再建する位置が決まって,町が出来,それに合わせて駅や線路を新たに造り,それが完成してから掲げられるからです。
つまり,方言の有効活用例の復活のは,震災からの復興に大きな意味を持つのです。その実現を確信して再建の原動力としたいと思います。全国の皆さんもぜひ応援してください。
なお,第146回で紹介した復興の方言メッセージは,その後さらに増えています。それらは第156回で報告する予定です。
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【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)
田中宣廣(たなか・のぶひろ)
岩手県立大学 宮古短期大学部 准教授。博士(文学)。日本語の,アクセント構造の研究を中心に,地域の自然言語の実態を捉え,その構造や使用者の意識,また,形成過程について考察している。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。著書『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』(おうふう),『近代日本方言資料[郡誌編]』全8巻(共編著,港の人)など。2006年,『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』により,第34回金田一京助博士記念賞受賞。『Marquis Who’s Who in the World』(マークイズ世界著名人名鑑)掲載。
【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
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地域語の経済と社会 第146回 『地域語の力』~東日本大震災復興の方言メッセージ
2011年 4月 16日 土曜日 筆者: 田中 宣廣地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第146回「『地域語の力』~東日本大震災復興の方言メッセージ」
3月11日午後2時46分の激しい揺れから始まった「東日本大震災」,地震本震とその約30分後の大津波の大きな被害は,皆さんも報道等で既によくご存知だと思います。尊い命をなくされた多くの方々に謹んで哀悼の意を表するとともに,被災された方々にお見舞い申し上げます。私の住む岩手県宮古市でも,甚大な被害を受けました。あれから1ヵ月経ちましたが,時が止まったようで,まだ昨日のことのようです。

【写真1 筆者撮影】

【写真2 YOMIURI ONLINE
(読売新聞:3月29日)より】

【写真3 IBC「じゃじゃじゃTV」より】

【写真4 みやこコミュニティ放送研究会提供】

【写真5 筆者撮影(2枚とも)】

【写真6 いわき市役所「がんばっぺ!いわき」
応援サイトより】

左:【写真7 あなたの,私の街・いばらき
~I love IBARAKI♪~より】
右:【写真8 岩手県中小企業家同友会
のサイトより】
そのなかで,地域語が大きな力となっています。被災民や復旧支援者が,各地の地域語で,復興の方言メッセージを掲げ,精神力を高め,体力を振り絞り,不自由な生活のなか奮闘しています。今回は,それらのほんの一部の例を紹介します。
大きく3種類になります。各々説明します。
①自衛隊の災害派遣部隊:全国各地からの大勢の支援隊が被災地を助けてくださっています。そのなかで自衛隊の災害派遣隊は,派遣先の地域語による方言メッセージをヘルメット側面に掲げています。「けっぱれ!岩手」【写真1】というわけです。宮城県では「がんばっぺ!みやぎ」【写真2】や「まけねど!女川・石巻」です。
②マスコミや企業,行政など:「がんばっぺし!いわて!!」(IBC岩手放送)【写真3】,「がんばっぺし宮古!」(みやこ災害エフエム)【写真4】,「みんなでがんばっぺす」(ジョイス宮古千徳店)【写真5】,「がんばっぺ三陸」(マルホンカウボーイ宮古店)【同】,「がんばっぺ!いわき」(福島県:いわき市役所)【写真6】,その他です。
③被災者など個人の手作り:「がんばっぺ!いばらき」(個人のブログ)【写真7】,「がんばっぺぇーす宮古」(岩手県宮古市:グリーンピア三陸みやこ避難所),「がんばっぺ高田!!」(岩手県:陸前高田市立第一中学校避難所)【写真8】,その他です。
こういう厳しい時にも,地域の力となり,人々を元気づける底力が,方言にはあるのです。
なお,この大震災により,これまで紹介した方言の有効活用例や関連企業にも被害が及び,中には消失したものもあります。その状況は第151回で報告する予定です。
《謝辞》
陸上自衛隊第11旅団,および,みやこコミュニティ放送研究会におかれては,当回の資料につきまして,特別の便宜を図ってくだされました。被災地での活動中にもかかわらず,ご協力を賜りましたことに対しまして,深甚なる謝意を表します。ありがとうございました。
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【筆者プロフィール】
言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
井上史雄,大橋敦夫,田中宣廣,日高貢一郎,山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
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田中宣廣(たなか・のぶひろ)
岩手県立大学 宮古短期大学部 准教授。博士(文学)。日本語の,アクセント構造の研究を中心に,地域の自然言語の実態を捉え,その構造や使用者の意識,また,形成過程について考察している。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。著書『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』(おうふう),『近代日本方言資料[郡誌編]』全8巻(共編著,港の人)など。2006年,『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』により,第34回金田一京助博士記念賞受賞。『Marquis Who’s Who in the World』(マークイズ世界著名人名鑑)掲載。
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地域語の経済と社会 第141回 『いちびり精神』による天保山登頂記
2011年 3月 12日 土曜日 筆者: 田中 宣廣地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第141回「『いちびり精神』による天保山登頂記」
「日本一の山」はどこか? の質問に,多くの人は「日本一『高い』山」(また『美しい』)の意で「富士山」と答えるでしょう(80歳以上では,つい新高山と言うかも……)。
それでは皆さん,「日本一『低い』山」はご存知でしょうか?テレビその他で取り上げられて意外と有名です。大阪市港区の「天保山(てんぽうざん)」で,現在の標高は4.53mです。(「現在の~」というのは,以前の高さから削られたり地盤沈下で低くなったからです)
天保山の頂上には「二等三角点」【写真1】が設置されていて法的に「山」なのです。「山岳会」もありますし,万一に備えて「山岳救助隊」も編成されています(http://www5.ocn.ne.jp/~tenpo45/参照)。
私も先頃,長年の念願叶って登頂に成功しました。また,山岳会より「登山証明書」【写真2】の発行を受けました。この証明書が,大阪方言の方言グッズになっています。後半に「よって,その快挙を称えあなたを「いちびり精神」の持ち主であることを証明します。」とあり,天保山登山=いちびり精神の持ち主=の証明となっています。
「いちびり」について山岳会の橋本会長から「大阪弁で,ふざけて,はしゃぎまわる という意味です」とのご教示を戴きました。あり得ないと分かっていても,それをあえて受け入れることのユーモアを楽しむ心です。大阪方言の言語行動の思想的基軸をなすとも言えましょう。インターネット検索でヒット件数,約354,000件でした。
天保山は,上で紹介した標高で,全体が公園です【写真3】。一般に理解される山の遭難もほぼありません。そこを『山』として楽しむのが,この場合の「いちびり」です。
私も,登山証明書発行申請書では,一行を「登山隊」,宿泊ホテルを「ベースキャンプ」,安倍川の対岸からの大阪市営渡船の天保山渡船場を「ファイナルキャンプ」,三角点まで歩くのを「頂上アタック」などと,登山用語を使いました。登山隊員の一人(長女)が,旅行後に少し熱を出したのは「低山病」(高山病でなく)と書いたりしました。山岳会からの添え状も,「田中登山隊様」(「登山隊」は印刷)の宛名で,別に「下山後の苦難の数々……涙なくしてお便り拝見できませんでした」とのお手紙も戴きました。
《付記》
天保山山岳会より,登山証明書発行時に本文に示したご教示を賜りました。ここに記して感謝の意を表します。
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2007年









