地域語の経済と社会 第350回 連載350回をふり返って

2016年 3月 26日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第350回 連載350回をふり返って  執筆者一同

 近年,全国各地で,その土地の方言を活かした商品や品々が増え,建物や施設などに地元の方言を活かしたネーミングなどが多くなってきています。私ども方言研究者が共同で,身近にあるそういった事例を探し,写真入りで紹介して現状を把握し確認したいと考えて始まったのがこの連載でした(2008年6月~)。

 地域性にも,また事例のバラエティーにも配慮しながら,多様で多彩な実態がわかるようにしたいというのが一同のめざすところでした。関西などに事例が多いことは周知のことでしたから,次のようなことに努めました。

《1》これまであまり(あるいはほとんど)報告されていない地域に重点を置きたいと考えました。
《2》また,まだ知られていないような事例の発掘にも力点を置きました。
《3》企画し制作した人には,ねらいや方言の持つどういう面をどのように活かすつもりだったのかについても可能な限り問い合わせて,それを記すようにしました。

 その結果,全体としては,次のようなことが明らかになりました。

(1)地域としては,これまで手薄だった茨城・千葉・神奈川,滋賀・奈良・和歌山,などを含む47都道府県のすべてから具体例を見つけることができ,全国に拡がっていることが確認できました。
(2)事例も,焦点を当てて中心的に取り上げたものと,関連して類似例として挙げたものを合わせると,1000件を軽く超えています(数え方が難しい面もありますが)。
(3)外国についても約30の国と地域の事例を紹介し,日本以外にも同様の事例は広くあちこちにあることがわかりました。

 また,内容面での内訳を見ると,次のようなことが言えるでしょう。

① 「方言」はそれぞれの地域らしさをアピールする恰好の素材・手段として,自信を持って誇らしく活用されている。
② 予想をはるかに上回る,実に多様で多彩なバラエティーと数とがあった。
③ 想定されている主な対象者としては,大きく分けて,地元の人たち向けのものと,観光客や外来者・購買者など,地元以外の人たち向けのものとがある。
④ 地元向けは,親近感や訴える力の強さを,地元以外向けは,不思議さや興味深さ・意外性を活かそうと考えたものが多い。
⑤ 商業方面はもちろんのこと,自治体など“お堅い”と思われている分野でも見られるようになっている。
⑥ その背景には,地域色を強くアピールし,個性的で親しみやすく印象的に表現したいという意図と願いが込められている。
⑦ ちょっとひねりを効かせたり,ことば遊びの要素を加えたりして,ユーモラスな効果をねらったものもある。
⑧ 表記の面では,かつてはひらがな・カタカナや漢字交じりが主流だったが,近年ではローマ字書きの例が非常に増えている。
⑨ それ(⑥⑦⑧)は,泥臭くなくスマートに面白く表現したいという意図をもったものであると考えられる。
⑩ 地元の方言以外の,よく知られた他の地域の方言を活用した事例も見られる。
⑪ 高校生や大学生が方言を活かした活動に取り組む例が見られるなど,高年層・中年層だけでなく,若年層も方言に関心を寄せている。
⑫ 特に近年になるほど,こういう事例が盛んに作られ見られるようになっており,この傾向は,今後もますます増えるであろうと思われる。

 執筆者は,当初の5人に加えて,関心を持つ方言研究者にも依頼し,合計13人になりました。今回の連載の中には方言研究という面から見て,貴重な情報がたくさん集まっています。方言グッズや方言を活用した事例はまだまだたくさんあるはずですから,探索と収集の作業は今後も続けていきます。またいつか発表の機会があることを願っています。

『魅せる方言 地域語の底力』
『魅せる方言 地域語の底力』

 毎回お読みいただいた皆様,長い間のご愛読,ありがとうございました。お忙しい中,私どもの問い合わせに答えてくださった企画・制作者の皆さんにもお礼を申し上げます。併せて,こういう得がたい機会と発表の場を提供していただいた三省堂Webサイトに,厚くお礼を申し上げ,ひとまずの締めくくりとさせていただきます。

 なお,この連載のちょうど半分に当たる第174回(2011年10月)までの記事の精選版は,『魅せる方言 地域語の底力』(三省堂 2013年11月)として刊行されています。

 2008年6月の第1回から今回の350回まで,8年近くにわたって連載した記事は当分の間,このサイトに残されていますから,今後も見ていただくことが可能です。ネットサーフィンができますから,「バーチャル方言博物館」としても役立ちます。また事例をどう分類できるかなどについては,『魅せる方言』もぜひご覧ください。

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。2008年から長きにわたって、方言研究の第一線でご活躍中の先生方からリレー連載をしていただいておりました。この第350回にて休載となります。

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この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。


地域語の経済と社会 第349回 静岡県浜松の方言クッキー

2016年 3月 12日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第349回 静岡県浜松の方言クッキー

 静岡県浜松の方言をクッキーに書いたお土産をもらいました。箱(包装紙)には,次のような方言が10語並び,横には小さく共通語訳が添えられています。【写真1】

しゃんべえ〔おしゃべり,口の軽い人〕
いっしょくた〔ごちゃまぜ〕
そうだら?〔そうでしょう?〕
バカ頭いいや〔とても頭がいい〕
いっとん〔いちばん〕
おすんばぁ〔はずかしがりや〕
お湯がちんちんだにー〔お湯が熱いよ~〕
そんなぶしょったい格好して〔そんなだらしない格好して〕
とんじゃかないよ〔かまわないよ〕
だもんで〔だから〕

(画像はクリックで拡大)
【写真1】『遠州浜松弁クッキー』の箱
【写真1】『遠州浜松弁クッキー』の箱
【写真2】『遠州浜松弁クッキー』の裏面の方言
【写真2】『遠州浜松弁クッキー』の裏面の方言

 箱の裏側には「遠州浜松弁いろいろ わかりそうでわからない浜松弁。さっそく使ってみたくなります。」と書いた下に,16語があげてあります。【写真2】

 ところが,よく見ると左の列の5語「いっとん」「~だもんで」「そうだら?」「いっしょくた」「おすんばぁ」は,何と先の箱の表にあげてあった方言とまったく同じです。5語ずつ3列に並べたその中央の上には「あわっくらい」〔あわてんぼう〕という方言があるのですが,それを実践してみせたのでしょうか? 表も裏も「いっしょくた〔ごちゃまぜ〕」になっていて,「だもんで・そうだら?・いっとん・おすんばぁ」〔だから・そうでしょう?・いちばん・はずかしい〕というギャグなんだろうかと,とんじゃかない〔〈頓着がない〉が変化した言い方。かまわない,の意〕そのおおらかさに思わず目が点になりました。

 他には,いいとこまんじゅう〔都合のいい場所・秘密〕,いじゃ〔行こう,おいで〕,うっちゃる〔捨てる〕,うんもすんもない〔どうしようもない〕,まっと〔もっと〕,かっちんだま〔ビー玉〕,くろ〔すみっこ〕,けっこい〔きれい〕,おんし〔おぬし,おまえ〕,ちょっくらちょお〔一筋縄〕があげてあります。

 箱の中には12枚のクッキーが入っており,淡い黄色の生地の表面に,こげ茶色の字で方言が書かれています(「おすんばあ,ちんちん,ぶしょったい,だもんで,そうだら?」が入っていました)。これを食べながら,あげてある方言をあれこれ組み合わせてつないでいくと,いろいろな文章が浮かび上がってきて,「実は深謀遠慮,意味深長な配慮のもとにこれらの語が選ばれているのかもしれない。一筋縄ではいかないぞ」と思ったことでした。

 製造元に電話して先の例を挙げて話を聞くと,「いやいや,そんなたいそうなことではありません」と苦笑まじりの返事が返ってきました。方言は,できるだけ浜松らしいものをという基準で地元出身の皆さんが意見を出し合って裏面にある語を選び,それに響きが面白いものや有名なものをさらに足し合わせて表の面を仕上げたそうです。平成23年4月から発売し,販売店や買った人からはなかなか面白いという反響があるということです。

 改めて箱のデザインを見てみると,「静岡浜松 遠州浜松弁クッキー」とあり,市のマスコットキャラクター・はままつ福市長「出世大名 家康くん」がお城の側に立ち,「浜松弁はこんなにいっぱいあるんじゃ」と言っています。【写真1】

 周りには当地の代表的な産物のオートバイ・日本茶,それに浜名湖に立つ鳥居のイラストが配してあります。あちこちに音符が踊っており,家康くんの袴が鍵盤になっているのは楽器の街だからですが,紋付もよく見るとミカンの紋様になっています。これもいかにも静岡らしさを表しています。あれぇ,浜松と言えば浜名湖のうなぎが有名なのに……と思ってよ~く見てみたら,家康くんの頭のちょんまげがうなぎになっていました。

 家康くんは「ゆるキャラグランプリ2013」では惜しくも2位でしたが,「同2015」でついに第1位を獲得して,念願の天下を取りました!

 なお,方言名のお菓子は,第301回,第312回,第320回,第348回などを参照してください。第301回にはそれ以前の例へのリンクがあります。

第301回 peccoぺっこ―意味のある方言菓子
第312回 お菓子の外来語―新潟市のロシア語 Loanwords of cakes — Russian language in Niigata City
第320回 会津のお菓子「くいっちい」
第348回 大分県豊後高田市のお菓子『も~な・菓』

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『魅せる方言 地域語の底力』日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
 大分大学名誉教授(日本語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと,“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986),「宮崎県における方言グッズ」(1991),「「~されてください」考」(1996),「方言によるネーミング」(2005),「福祉社会と方言の役割」(2007),『魅せる方言 地域語の底力』(共著,三省堂 2013)など。

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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。2008年から長きにわたって、方言研究の第一線でご活躍中の先生方からリレー連載をしていただいておりました。350回にて休載となります。

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地域語の経済と社会 第348回 大分県豊後高田市のお菓子『も~な・菓』

2016年 2月 27日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第348回 大分県豊後高田市のお菓子『も~な・菓』

 大分県豊後高田市は,方言研究者にとっては,2つの点で“有名な”ところです。

 1つめは,この連載の第73回「大分県豊後高田市の「方言まるだし弁論大会」」でも紹介しましたが,昭和58年から「大分方言まるだし弁論大会」が毎年10月に開催され,方言を活用した名物行事として地元ではすっかりお馴染みで,(途中2回の休みを挟んで)すでに31回の歩みを重ねています。

(画像はクリックで拡大)
【地図】田中茶和子「大分方言における「シンケン」の広がり」(平成5年)から
【地図】田中茶和子「大分方言における
「シンケン」の広がり」(平成5年)から
【写真】『も~な・菓』とボンネットバス型の紙製ケース
【写真】『も~な・菓』と
ボンネットバス型の紙製ケース

 豊後高田市あたりでは,方言での強調の言い方を「モナ・モーナ」という点で特徴があります。語源は「猛な」ではないかという見方もありますが,県内でもこの地域だけで使われています。全国で刊行された方言集や方言辞典など約1000冊をまとめた『日本方言大辞典』にも,県内の代表的な方言集に収録された語を集めて整理した『大分県方言集成』にも出ていません。が,【地図】は県内での〔非常に〕に当たる言い方の分布を示したもので,これには出ています。(中央上部の平たい▲のマークです)

 その豊後高田市には,昭和30年代のたたずまいを色濃く残した「昭和の町」という一画があって,観光地になっています。この「昭和の町」の中を今では非常に珍しい,昔懐かしいボンネットバスが走っています。

 それにちなんで作られたお菓子に『ボンネットバスも~な・菓』(最中)があります【写真】。箱はボンネットバスを象っており,最中の皮にはそのバスが型押しされ,餡には一般的なあずき餡の他に,この地域の特産品の落花生を活かしてピーナツの入った餡もあります。ただし,先に紹介したような方言についての情報を知らないと,『も~な・菓』という名前が一体何を意味しているのか,わからないでしょう。中に「しおり」が入っており,次のように説明されています。

「もーな」は「とても」「たいそう」などを強調する豊後高田の方言です。
「もーな・菓」は,看板商品のもーなうんめぇー最中です!

つまり,豊後高田らしさを表現した「もーな(おいしいお)菓(子)」だ,というわけです。

 2つめは,市内の海岸部「呉崎」地区が,方言に関して珍しい歴史をもっている点です。今から約180年前・江戸時代後期に天領・日田の代官によって大規模な干拓が行われ,ここに対岸の広島県から移住してきた大勢の人たちが「呉崎村」を構成して長年暮らしてきました。村内には小学校と高等科(のち中学校)があり,卒業後は広島方面に就職する人が多く,周囲の大分の町や村とはあまり交流せず,また代々広島との間で婚姻関係を結んできたことなどもあって,広島と太いパイプでつながれ,広島方言が根づいて脈々と伝えられてきました。いわば広島方言がカプセルに入ってこの地に降り立ち,長い間“方言の島”となってきたわけです。しかし,昭和29年に呉崎村は高田町と合併し,直後に市制施行。中学からは市内中心部の高田中学校に通学することになって周囲との交流が一気に進み,今では従来の広島方言的な特徴は高齢者にわずかに残るだけになりました。[注]

 呉崎は干拓地という土地の特性=砂地を活かして,西日本では珍しい白ネギの産地として知られていますし,またスイカと落花生も特産品の一つになっています。それが先のピーナツ餡に活かされているというわけです。

 

[注]松田正義『方言生活の実態』(明治書院,昭和35年)p28~48,宮原かおり「大分県豊後高田市呉崎方言の変容」(平成6年)などを参照。

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(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『魅せる方言 地域語の底力』日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
 大分大学名誉教授(日本語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと,“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986),「宮崎県における方言グッズ」(1991),「「~されてください」考」(1996),「方言によるネーミング」(2005),「福祉社会と方言の役割」(2007),『魅せる方言 地域語の底力』(共著,三省堂 2013)など。

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地域語の経済と社会 第347回 方言コレクション Dialect collection

2016年 2月 13日 土曜日 筆者: 井上 史雄

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第347回 方言コレクション Dialect collection

 この三省堂の方言シリーズエッセイでは,方言を経済的に活用する試みをたどってきました。実例は100年近く前からありました。戦前の方言絵はがきの桜井コレクション(第242回「名古屋の方言絵はがき Dialect picture postcards of Nagoya」第272回「方言絵はがき10万円 1000 dollars for dialect picture postcards」)が手に入り,インターネットで公開しました[注]。さらにその後もデータが増えました。大阪の絵はがきが圧倒的な多さです【図1】。

(画像はクリックで拡大)
【図1】大阪の方言絵はがき
【図1】大阪の方言絵はがき
【図2】『魅せる方言』の県別言及回数
【図2】『魅せる方言』の県別言及回数

 戦後(2000年まで)の方言グッズ報告例は,グラフとして拙著に載せてあります。九州,近畿,中部,東北などで,国土の中央と辺縁で多く見つかりました。方言イメージで情的プラスの地域と一致します。

 シリーズエッセイのエッセンスは,『魅せる方言』として刊行されました。索引から多くのことが読み取れます。県名(および旧国名)を地図にしてみました【図2】。ほぼすべての県から実例が集まりました。

 つまり21世紀に入って,方言が日本全土で経済的に活用されるようになったわけです。方言そのもののイメージが全国で情的プラスに転じたと考えられます。

 媒体も多様であることが分かりました。戦前・戦後は方言手ぬぐいのように観光客向けの買える方言が多かったのですが,平成になってからは,店名,施設名や方言メッセージのように買えない方言が目に付くようになりました。若者向けの娯楽ものが増えたことも注目されます。旅先で耳で方言を聞く機会が減ったのと反比例の形で,目で方言を見る機会が増えたわけです。

 この方言シリーズエッセイは350回を迎えたところで休載になります。第1回の2008年6月から2016年3月まで8年間続きました。開始当初は,《5人で分担して,できれば全部を集める》という野望を持ちましたが,無謀でした。全国にこれほど多いと思いませんでした。またこの8年間に増え続けるとは予測できませんでした。

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[注]http://www.urayasu.meikai.ac.jp/japanese/inoue/inouetop.htm

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言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
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『魅せる方言 地域語の底力』『ことばの散歩道』井上史雄(いのうえ・ふみお)
国立国語研究所客員教授。博士(文学)。専門は、社会言語学・方言学。研究テーマは、現代の「新方言」、方言イメージ、言語の市場価値など。
履歴・業績 http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/inouef/
英語論文 http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/affil/person/inoue_fumio/
「新方言」の唱導とその一連の研究に対して、第13回金田一京助博士記念賞を受賞。著書に『日本語ウォッチング』(岩波新書)『変わる方言 動く標準語』(ちくま新書)、『日本語の値段』(大修館)、『言語楽さんぽ』『計量的方言区画』『社会方言学論考―新方言の基盤』『経済言語学論考 言語・方言・敬語の値打ち』『ことばの散歩道』(以上、明治書院)、『辞典〈新しい日本語〉』(共著、東洋書林)などがある。

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地域語の経済と社会 第346回 ちょっとお休み

2016年 1月 30日 土曜日 筆者: 田中 宣廣

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第346回 ちょっとお休み

 皆さんにお知らせです。この連載は今回を含めて5回の第350回までで少しお休みを戴くこととなりました。それで今回のテーマは「お休み」です。地域の中の『休憩』に関する方言拡張活用を2例取り上げます。

(クリックで全体を表示)
【写真1】九戸村「んだ…なす」(クリックで全体を表示)
【写真1】九戸村「んだ…なす」

 まず,岩手県九戸村(くのへむら)伊保内(いぼない)地区の,飲食店兼フリー休憩スペース「お休み処 んだ…なす」〔(お休み処)そうです(ね)〕です【写真1】。この地区を代表する方言による方言ネーミングです。前半の「んだ」は,東北弁によくある「そうだ」の意の方言です。後半の「なす」は,岩手県で文末に用いられて丁寧の意を表す方言です。元は「―なもし」だと言われています。岩手県内では,この変異形が実に豊富で,それだけで岩手県内のどの場所か分かるほどです。九戸村など内陸部では「―ナス」が多く聞かれます。沿岸部の宮古市では中心部で「―ナス」,市の南端の津軽石地区では「―ネース」,その隣の山田町では「―ナース」です。この3地点は南北約30kmの範囲に位置しています。文末のことばを聞いて出身地が分かります。「―ナムシ」(山田町船越地区や洋野町中野地区など)と元の形に近い語形が残っているところもあります。[注]

 この例では,使われている方言の意味より,地元の方言であること,それ自体に重要な意味があることが分かります。方言が地域の人々を集める力の大きさがよく理解できます。このお店は個人営業の飲食店です。お客の中心は地域の皆さんです。時間帯によっては地元の岩手県立伊保内高校の生徒さんで席が埋まります。そういう高校生のなかには,進学や就職により村を離れる人もいます。でも,自分を育ててくれたふるさとを,方言を軸に一生忘れないでいてほしいものです。

【写真2】宮古市「おやすめんせ」(クリックで全体を表示)
【写真2】宮古市「おやすめんせ」

 もう一つは,岩手県宮古市の自動車用品販売店の駐車場にある休憩~喫煙スペース「おやすめんせ」〔休憩してください〕です【写真2】。語構成は,この連載の第1回「岩手の酒っこ ひゃっこぐしておあげんせ」で紹介した方言ネーミングのお酒「岩手の酒っこ ひゃっこくして おあげんせ」の「おあげんせ」,また,商店街のいすの方言メッセージ「おすわれんせ」と同じです。江戸時代に近畿地方で優勢だった敬語法[お+(動詞連用形)+ある]に,東北地方の方言で丁寧の意を表す「―す」の命令形「―せ」が付いた構成です。「おやすめんせ」のもとは「お+休み+ある+せ」です。この店舗は全国チェーンの支店ですが,お客は地域の人なので,地域の方言で親しみやすさを考えているものです。

 今回の2例,お店に種々相違点があるものの,心と体を休めるためには,方言のなかでも優しく語りかけることばが適切だとの共通点を見出すことができます。読者の皆さん,この連載のお休みの間も,そういう方言の役割や力について考えていただけると幸いです。

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[注解]「―なもし」が元の方言の敬語は日本全体にあります。橘正一(昭和初期の岩手の方言研究者)が「ナモシの分布」(1930年『方言』五2)で整理しています。

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(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『魅せる方言 地域語の底力』『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』田中宣廣(たなか・のぶひろ)
 岩手県立大学 宮古短期大学部 図書館長 経営情報学科長 教授。博士(文学)。日本語の,アクセント構造の研究を中心に,地域の自然言語の実態を捉え,その構造や使用者の意識,また,形成過程について考察している。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。著書『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』(おうふう),『魅せる方言 地域語の底力』(共著,三省堂)など。2006年,『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』により,第34回金田一京助博士記念賞受賞。『Marquis Who’s Who in the World』(マークイズ世界著名人名鑑)掲載。

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方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。2008年から長きにわたって、方言研究の第一線でご活躍中の先生方からリレー連載をしていただいておりました。350回にて休載となります。

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地域語の経済と社会 第345回 「こぴっと」全盛!―山梨の方言グッズ近況―

2016年 1月 16日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第345回 「こぴっと」全盛!―山梨の方言グッズ近況―

 第230回「週末は山梨にいました。―山梨の方言グッズ事情2012―」で取り上げた山梨の方言グッズの近況を調査してきました。2012年の時点では,方言絵はがきやハンカチなど,オーソドックスな商品を目にしました。また,取り上げられている方言も,「かじる」〔掻く〕など,外から見ると面白みを感じるものが使われていました。

 その後,NHKの連続テレビ小説「花子とアン」の大ヒットは,方言グッズの世界にも,大きな影響を与えたようです。ドラマの舞台となっただけでなく,甲州弁もふんだんに使われたので,「こぴっと」〔ちゃんと〕「てっ!」〔えっ!〕などをあしらったグッズが出回るようになりました。

 まず,「買える方言」としては,甲州名物のワインのラベル(3種類)です。

「呑んどくんなって」【写真1左】
  〔呑んでください〕
「はんで呑めし」
  〔いつも呑んでください〕
「おんだあが育てた葡萄が こぴっと した葡萄酒に なったっちゅうこんさ, ふんだから はんで呑んでくりょうし」【写真1右】
  〔俺が育てた葡萄がちゃんとした葡萄酒になったということさ。それだから,いつも呑んでくださいよ。〕

 

(画像はクリックで全体表示)
【写真1】 【写真2】
左:【写真1】甲州弁のラベルが貼られた地元産ワイン
右:【写真2】甲州名物「ほうとう」も甲州弁でアピール

 

次に目に飛び込んできたのが,これまた当地の名物「ほうとう」のコピーです。

「今夜は 甲州名物 ほうとうずら こぴっと!! 作ってくりょう!」【写真2】

 第314回「マスメディアが後押し(山梨県の方言)」で紹介された「甲州弁No.1決定戦」でも,「こぴっと」がトップになっていましたね。

 以上のほかに,「買える方言」として,次のような例を確認しました。

○甲州弁スタンプ:
「こぴっとしろし」〔しっかり。ちゃんと〕
「がんばってくりょう」〔がんばってください。〕
「てっ!」〔えっ!まあ!:驚いた時に出る言葉〕
「いいさよ」〔いいよ。大丈夫だよ。〕
「ちょびちょびしちょし」〔調子にのるなよ。〕
「ほうずら」〔そうでしょう。だよね。:同意を求める言葉〕
○甲州弁ストラップ:
「てっ!」「こぴっとしろし!」
○和菓子(饅頭):
「なんずらまんじゅう」〔なんでしょう饅頭〕

 また,「買えない方言」としては,次の例を見つけました。

○観光案内チラシ:
「石和温泉『こぴっと朝めし』」(石和温泉観光協会)
○ホテルの広告:
「泊まっていくじゃん。お城のそばに。」〔泊まっていきましょう〕

 人気を誇った方言グッズですが,ドラマの放送終了後には,富士山の世界遺産登録というビッグニュースが飛び込み,今や,これらの商品はやや影が薄くなり,売り場は富士山関連グッズ全盛です。

 『魅せる方言』でも紹介されている「甲州弁かるた」など,従来の商品に加えて,今後,どんなものが登場してくるか,その展開に注目したいところです。

◇その他、山梨の地域語の回へのリンク
第27回 古株じゃん 新米じゃね
第33回 「方言かるた」あれこれ

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『魅せる方言 地域語の底力』大橋敦夫先生監修の本大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。

* * *

【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載です。

* * *

この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。


地域語の経済と社会 第344回 読み聞かせる方言

2015年 12月 26日 土曜日 筆者: 山下 暁美

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第344回 読み聞かせる方言

 方言使用には,観光客向けと地元向けがあります。観光客向けは,経済を反映したグッズやみやげ品,ポスターなどです。一方,地元向けは文化の継承のためとも言うべきもので,絵本やまんが,かるたなどです。若者世代(第98回,214回,328回)や子ども世代(31回,216回)が自らの地元文化を楽しみ,地域の結束力やアンデンティティを確認する働きがあります。

 というわけで今回,紹介するのは,関西弁の絵本です。岡田よしたか著『はずかしがりやのバナナくん』(株式会社PHP研究所)【写真1】です。著者の岡田さんは,大阪生まれの絵描きさんで,絵も文も岡田さんによるものです。

 この絵本は,地の文は共通語で,会話文は関西弁で書かれています。つまり,知的情報は共通語で,情的な会話は方言です。方言による会話によって,登場するバナナくんやくしカツのおじさんの気持ちが,生き生きと伝わってきます。

【写真1】 【写真2】
左:【写真1】 右:【写真2】(画像はクリックで拡大表示)

「よっしゃ どんどん いくでー」【写真2】
「うわー,やったら できるねんなあ!」
「これも みんな くしカツさんの おかげや。 そうや くしカツさんも いっしょに うたお!」

といったぐあいです。

 岡田さんからのメッセージです。

 アニメなどを見ているとアクションも派手で,過激な内容が多いです。この絵本を子どもたちに読み聞かせて,大人も子どももいっしょになってジワッとクスッとくる静かなおもしろさを味わってほしいです。

 「関西弁のアクセントやイントネーションが難しい」という声を聞くことがありますが,そんなときは,読み手は,出身地のことばやもっとしっくりくることばに置き換えて,読んでくださったらいいと思います。そうすれば話のニュアンスが子どもたちに伝わり,一層絵本が大好きになります。

 絵本のなかでは,関西弁が「ジワッとクスッとくる静かなおもしろさ」に一役かっています。子どもたちが,読み聞かせの中で聞いた方言を,家庭内や友達との会話に使って楽しめば大成功です。なお,関西弁を使った絵本は,ネットで調べるとたくさん出て来ます。方言えほん,方言かるた(第33回),方言トランプ(第208回)などは,観光客向けというより,地元向け文化グッズと言えます。地元の方言で読み聞かせる絵本は,方言を通して郷土の文化を子どもたちに伝えます。

第98回 若い女性が方言で愛を告白『方言CD』
第214回 「胸キュン方言」
第328回 若者向けの方言作品,オンパレード
第31回 方言ネーミング,方言看板・ポスター,方言メッセージの注意点
第216回 子ども向けの方言の拡張活用
第33回 「方言かるた」あれこれ
第208回 『方言トランプ』あれこれ

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言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『魅せる方言 地域語の底力』『海外の日本語の新しい言語秩序―日系ブラジル・日系アメリカ人社会における日本語による敬意表現』山下暁美(やました・あけみ)
元明海大学教授(日本語教育学・社会言語学)。博士(学術)。
研究テーマは,海外の日本語の変化,談話分析による待遇表現,福祉の言語学。街角の言語表示,災害時の『命綱カード』などに関心がある。著書に『書き込み式でよくわかる日本語教育文法講義ノート』(共著・アルク),『海外の日本語の新しい言語秩序』(三元社),『スキルアップ日本語表現』(おうふう),『スキルアップ文章表現』(共著・おうふう),『解説日本語教育史年表(Excel 年表データ付)』(国書刊行会),『魅せる方言 地域語の底力』(共著,三省堂)などがある。

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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載です。

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地域語の経済と社会 第343回 宮崎県都城市の『方言カルタ』

2015年 12月 19日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第343回 宮崎県都城市の『方言カルタ』

 子供の頃,お正月にはお年玉をもらい,着るものも履くものも新しくし,新年気分にひたったものでした。屋外では凧揚げ,室内ではカルタ取りなどが定番の遊びでした。

【写真1】『みやこんじょ方言カルタ』の大型判(提供:盆ジュール)
【写真1】『みやこんじょ方言カルタ』の大型判
(提供:盆ジュール)
【写真2】『みやこんじょ方言カルタ』
【写真2】『みやこんじょ方言カルタ』
(クリックで拡大)

 この連載でも,「方言かるた」を第33回,35回,82回,105回,210回で紹介していますが,宮崎県都城(みやこのじょう)市にも『みやこんじょ方言カルタ』があります。これが他とちょっと違っているのは,室内用のふつうサイズのほかに,体育館などでも遊べるようにと,ビッグな絵札=B2サイズ大(約50cm×約70cm)の大型判も作られている点です。

 企画したのは,都城の地域おこしと情報発信をしているグループ=「盆ジュール」です(都城は盆地で,それと〔こんにちは〕の意のフランス語にかけたネーミングです)。「楽しみながら,都城の方言を子供たちに少しでも伝えることができれば……」と願い,また大型判は「体を動かしながら楽しく方言と触れあってほしい。学校や公民館などに無料で貸し出したい」と呼びかけ,賛同者からの募金を集めて作りました【写真1】。クラウドファンディングサービスのサイトに,その写真や関連の情報が載っています(https://faavo.jp/miyazaki/project/155)。

 大型判の場合,読み札が大声で読み上げられると,子供たちは一斉にめざす札に向かって走りだします。判断力・瞬発力と同時に根気と体力も必要です。特に室内に閉じこもりがちな冬には有効で,格好の運動になります。(その後,高齢者福祉施設から「ふつうのものでは小さ過ぎるが,大きなものでは参加はむつかしい。いっしょに遊びたいのだが……」という要望があり,A5サイズ大(約15cm×約20cm)の中型判も新たに加わりました)。

 読み札を見ると方言色満載で【写真2】,

「おいげん きっみやん」
  〔私の家に,来てみて〕
  俺の家に>おいげん  来てみやり>きっみやん

「げんねっせ かおかいひがでっど」
  〔恥ずかしくて,顔から火が出るよ〕
  げんね〔恥ずかし〕くて>げんねっせ  顔から>顔かい

「すんくじらにおらじ こっちき」
  〔隅っこにいないで,こっちに来い〕

「せからしやっが くっど」
  〔うるさい人が来るぞ〕

「たのかんさあ しっちょい?」
  〔田のかんさあ=この地域特有の田の神様を 知ってる?〕
  知っちょる>しっちょい

「ちんがらやっど うかぜのあとは」
  〔めちゃくちゃだよ 台風の後は〕

などに見られるように,ラ行音の変化が激しかったり,〔~くて〕を「~せ」と言ったり,長音が短くなるなど,鹿児島県の薩隅(さつぐう)方言に通じる特徴がよく現れています。都城は旧薩摩藩に属していましたから……。

 子供たちの方言の現状とはかなり差がありますが,彼らがそれを意識して周りの人たちに質問すれば,異世代間のコミュニケーションと交流を図る何よりの機会になります。

 「盆ジュール」でこのカルタの企画・制作を担当した内村学さんは,「皆さんに広く利用してもらい,子供たちにも喜んでもらっている」と,確かな手応えを感じています。

第33回 「方言かるた」あれこれ
第35回 方言かるた(おまけ)
第82回 新潟弁の方言カルタ―新方言「なまら」の使い方
第105回 魚沼方言かるた(新潟県魚沼市)
第210回 方言かるた3種(長野県)

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『魅せる方言 地域語の底力』日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
 大分大学名誉教授(日本語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと,“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986),「宮崎県における方言グッズ」(1991),「「~されてください」考」(1996),「方言によるネーミング」(2005),「福祉社会と方言の役割」(2007),『魅せる方言 地域語の底力』(共著,三省堂 2013)など。

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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載です。

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地域語の経済と社会 第342回 二つの方言学国際会議Methods 2017とSIDG 2018 Two International Congresses of Dialectology: METHODS 2017 and SIDG 2018

2015年 11月 28日 土曜日 筆者: 井上 史雄

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第342回 二つの方言学国際会議Methods 2017とSIDG 2018
Two International Congresses of Dialectology: METHODS 2017 and SIDG 2018

 2015年8月に北キプロスで方言学の国際会議(SIDG)がありました。日本は北キプロスを国家と認めていないので,公館もありません。IS(イスラム国)のテロや誘拐があっても保護を受けられません。幸いに平穏無事に終わりました。3年後の開催地は,会場ですぐに決まりました。バルト3国の一つ,リトアニアが引き受けてくれました。

【図1】リトアニア語の方言区画 Lithuanian Dialects
【図1】リトアニア語の方言区画
Lithuanian Dialects(画像はクリックで拡大)

 国際会議の報告でも,「リトアニア言語研究所では方言について学校向けのシリーズ本を出している」と言っていました。方言区画に応じて方言の解説書を14冊,CD付きで出すそうです。以前にリトアニアの方言区画を記したチョコレートをいただきましたが,そのチョコレートは大まかなものでした(第67回「世界唯一の方言チョコレート」)。Genovaitė KAČIUŠKIENĖさんの発表資料をいただきました。【図1】が方言区画です。低地方言(赤,黄)と高地方言(緑,青)とに大分類されるそうです。首都ヴィリニュスは地図の右下で,高地方言の東部方言(青)に属しますが,西部方言(緑)の影響も大きいとか。

 【図2】にヴィリニュス編の表紙を示します。これが14冊出そろうわけです。

【図2】リトアニアの方言解説書のうちヴィリニュス編“East Highlanders Vilnius Citizens”(2010)
【図2】リトアニアの方言解説書のうちヴィリニュス編
“East Highlanders Vilnius Citizens”(2010)

 人口300万人(静岡県ほど)の国で,方言解説書14冊の市場があるか,心配です。周囲の大国の圧力で,独立の国家を持つのに苦労した国です。リトアニア語の出版が禁じられた時期もありました。旧ソ連の自治共和国でしたが,1991年に独立して,今はユーロ圏です。国民の愛国心,国語愛が旺盛なのは当然です。だからこそ国家予算による企画が出るのでしょう。

 方言の扱い方は,国家によって,経済規模によって,違います。日本は,長い間ほぼ言語領域に応じた国家領域を保ってきました。人口も1億規模で経済力が豊かです。方言の概説書も民間の出版社で地方別,県別に出しています。方言グッズも各県にあることが分かりました(『魅せる方言』)。日本方言研究会という組織があり,機関誌『方言の研究』も刊行されました。世界的にみても研究活動の活発な国です。

 日本は,方言学の国際会議も引き受けます。方言学国際会議が二つあるうち,方言学方法論会議(Methods in Dialectology 16)が2017年8月7~12日に東京・立川の国立国語研究所で開かれます。2018年夏にリトアニアのヴィリニュスで方言学地理言語学国際会議(SIDG 9)が開かれます。北キプロスでは「日本の8月はベストシーズンですよ」と宣伝しておいたのですが,ジョークと思わなかった人がいたらどうしよう……。

 Methods in Dialectology 16 at NINJAL, Tachikawa, Tokyo, 7~12 Aug 2017.
 SIDG 9 (International Society of Dialectology and Geolinguistics), Vilnius, Lithuania 2018.

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『魅せる方言 地域語の底力』『ことばの散歩道』井上史雄(いのうえ・ふみお)
国立国語研究所客員教授。博士(文学)。専門は、社会言語学・方言学。研究テーマは、現代の「新方言」、方言イメージ、言語の市場価値など。
履歴・業績 http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/inouef/
英語論文 http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/affil/person/inoue_fumio/
「新方言」の唱導とその一連の研究に対して、第13回金田一京助博士記念賞を受賞。著書に『日本語ウォッチング』(岩波新書)『変わる方言 動く標準語』(ちくま新書)、『日本語の値段』(大修館)、『言語楽さんぽ』『計量的方言区画』『社会方言学論考―新方言の基盤』『経済言語学論考 言語・方言・敬語の値打ち』『ことばの散歩道』(以上、明治書院)、『辞典〈新しい日本語〉』(共著、東洋書林)などがある。

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地域語の経済と社会 第341回 手作りの方言小辞典

2015年 11月 14日 土曜日 筆者: 田中 宣廣

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第341回 手作りの方言小辞典

 この連載はテーマの副題を「方言みやげ・グッズとその周辺」としています。その理由は,方言の拡張活用の展開される源の用法であると考えられるからです。方言みやげ・グッズとは,方言を書いた観光みやげ(方言を書いた,のれんや湯呑み,絵はがき,他)などの「商品」です。お店とお客の間の売り物を買うという,はっきりとした関係があります。観光客歓迎の方言メッセージですと,そういう商取引を『促す』のにもよく使われています。

(クリックで全体を表示)
【写真1】秋田弁講座(クリックで全体表示)
【写真1】秋田弁講座
【写真2】おもっつぇ~!! わらぁ~さる!! 宮古弁(クリックで全体表示)
【写真2】おもっつぇ~!! わらぁ~さる!! 宮古弁

 そこに最近目にするのが,手作り(手書き)の方言小辞典です。観光地のみやげ物店の店内に,方言を列挙して共通語訳などの説明を付けています。パソコンや情報ネットワークが発達した現代に,最も素朴な方法で作成しているのも興味深い事例です。2例挙げます。

 はじめに,秋田県仙北市のJR[注1]角館(かくのだて[注2])駅です。模造紙を使い,駅待合室から入るとすぐ目に入る高い場所に掲示されている「秋田弁講座」です【写真1】。「いいふりこぎ」〔見栄っぱり〕,「ほんじなし」〔ぬけてる〕,「せば」〔じゃあ〕をはじめとする秋田の方言の代表例が30語列挙され,共通語訳と用例文が付いています。その下には,使用状況を説明したイラスト「食卓の秋田弁」もあります(ただし,こちらは印刷【写真1クリック】)。

 もう一つは岩手県宮古市の宮古駅です。駅施設内でなく,JR山田線の駅と三陸鉄道北リアス線の駅の中間に位置しています。この連載の第101回「『市』を挙げての方言メッセージ~『おおきに』と『おでんせ』」でも紹介した店舗ですが,第101回での出入り口の例はなくなり,その替わりのように店内に掲示されています。やはり模造紙に手書きで作成されています【写真2】。こちらはタイトルも方言で,『おもっつぇ~!! わらぁ~さる!! 宮古弁』〔おもしろい!! 思わず笑えてくる!! 宮古弁〕(「‐サル」=岩手県中北部で優勢な自発表現)としています。「あわぇーっこ」〔奥まった小路:第336回「『Miyako♡あうぇーこなび』~高校生が作った街案内~」で紹介〕,「えんずう」〔窮屈。しっくりこない〕,「とつこ」〔絡まる〕など,この方言の代表例が模造紙4枚に39語(タイトルの2語も入れれば41語)列挙されています【写真2クリック】。

 こういう用例を取り上げたのは,手書き作成であることのほか,分類について考える必要もあるからです。売り物でないので買えませんが,方言グッズの一種と見なせます。方言提示の手法は,方言のれんなどと同様ですし,明らかに観光客に地域特性としての方言を理解していただく目的があるからです。方言メッセージの変種と考えてもいいかもしれません。

 * 

[注1]角館駅は,JR田沢湖線(秋田新幹線)と秋田内陸縦貫鉄道(通称,内陸線)の二つあり,両方とも方言メッセージでお出迎えしています。JRでは「えぐきてけだんし」〔よく来てくださいました〕,内陸線では「のってけれ内陸線」〔乗ってください内陸線〕です。

[注2]角館の現地発音について青年層(若者)では[カグダデ]です。高年層(年配者)では前鼻音が残っていて[カグンダデ]です。

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『魅せる方言 地域語の底力』『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』田中宣廣(たなか・のぶひろ)
 岩手県立大学 宮古短期大学部 図書館長 経営情報学科長 教授。博士(文学)。日本語の,アクセント構造の研究を中心に,地域の自然言語の実態を捉え,その構造や使用者の意識,また,形成過程について考察している。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。著書『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』(おうふう),『魅せる方言 地域語の底力』(共著,三省堂)など。2006年,『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』により,第34回金田一京助博士記念賞受賞。『Marquis Who’s Who in the World』(マークイズ世界著名人名鑑)掲載。

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