地域語の経済と社会 第114回 おいしい方言(熊本県)

2010年 8月 28日 土曜日 筆者: 山下 暁美

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第114回「おいしい方言(熊本県)」

 おいしい方言について、今回は、九州の熊本県をご紹介します。
 「うまかばい。いっぺん食べたら忘れられんけん!」【写真1】
 「~ばい」(~よ・~ぞ)は、自分の気持ちを相手に伝えたいときの終助詞です。
理由を表す「けん」(から)は、中国地方以南に分布します。中国地方では「ケー」、大分県では「キー」というところもあります。火の国熊本のとんこつ特製スープ付のラーメンです。「二人前」(ににんまえ)と通常書いてあると思いますが、「お二人前」(おふたりまえ)と書いてあるのは、丁寧さをそえているのでしょうか。

【写真1】「うまかばい」 【写真2】「食べてみんね」
左:【写真1】 右:【写真2】
【写真3】「だごうまか」
【写真3】
【写真4】「どんこん」
【写真4】

 「食べてみんね」【写真2・食べてみないの】は、日本一大きいと言われる天草のにわとり、天草大王が入った鍋料理です。「~ね」は、「なんばいうとね」(なにをいっているの)のように話し手の気持ちを伝える終助詞です。

 「だごうまか」【写真3・とてもおいしいよ】とあるのは、熊本のおみやげ、冷しいきなり団子です。熊本のよいおみやげ「よかもん」決定戦コンクール2007で選ばれたそうです。「だご」は、「とても・非常に」の意味で「団子」(だんご)とかけことばになっています。九州では、方言のもち味をうまく活かして、若者たちがことば遊びを楽しんでいるそうです。「うまか」は、「うまい」と断定することを避けて、「うまか」「よか」などと言います。「いきなり団子」の「いきなり」には、「やりっぱなし」「でだらめ」という意味や「簡単な」という意味があります。

 「どんこん、たまがっどぉ!!」【写真4】の「どんこん」は、「たくさん」「とても」「いっぱい」の意味で、「たまがっどぉ!!」は「びっくりするぞ」の意味です。「たまがる」(びっくりする)は、九州全域に分布しています。「たまがす」「たまげらかす」(驚かす)という言い方も熊本県にあります。「魂消」(たまがす)と漢字で書くと意味がわかります。「たまがる」は九州地方に分布しますが、よく似た形の「たまげる」は、東日本に分布しています。

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『海外の日本語の新しい言語秩序―日系ブラジル・日系アメリカ人社会における日本語による敬意表現』『書き込み式でよくわかる 日本語教育文法講義ノート』山下暁美(やました・あけみ)
明海大学外国語学部・大学院応用言語学研究科教授。博士(学術)。
専門は、日本語教育学・社会言語学。研究テーマは、移民百年を迎えた、ブラジル、アメリカ合衆国などにおける日本語の変化、外国人の日本定住化による共生時代の日本語教育政策。
著書に『書き込み式でよくわかる日本語教育文法講義ノート』(共著、アルク)、『海外の日本語の新しい言語秩序』(単著、三元社)、『スキルアップ文章表現』(共著、おうふう)、『スキルアップ日本語表現』(単著、おうふう)、『解説日本語教育史年表(Excel 年表データ付)』(単著、国書刊行会)、『ふしぎびっくり語源博物館4 歴史・芸能・遊びのことば』(共著、ほるぷ出版)などがある。

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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。

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この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。


地域語の経済と社会 第113回 土佐の『龍馬からの恋文』トイレットペーパー

2010年 8月 21日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第113回 「土佐の『龍馬からの恋文』トイレットペーパー」

 NHKの大河ドラマ『龍馬伝』が大変な人気で、全国各地の坂本龍馬ゆかりの地は歴史ファンや観光客で大変にぎわっていると聞きます。

 関連グッズも続々と登場していますが、そのひとつ、地元・高知では、坂本龍馬からの「恋文(らぶれたー)」を印刷したトイレットペーパーが発売され、話題になっています。

(クリックで拡大表示)
【写真1 『龍馬からの恋文』】
【写真1 『龍馬からの恋文』】
【写真2 その手紙の文面(一部分)】
【写真2 その手紙の文面(一部分)】

 中国語で「手紙」とはトイレットペーパーのことだというのはよく知られた話ですが、まさに龍馬からの手紙がトイレットペーパーになって登場した、というわけです。

 これを作ったのは、家庭用の紙製品の製造・加工・販売をしている、高知県土佐市の望月製紙です。

 同社によると、NHKの大河ドラマで『龍馬伝』が放送されることが決まった2009年3月、何か龍馬に関するものを開発しようと社内からアイディアを募集。その中から浮かび上がったのが、主力商品の1つであるトイレットペーパーに「龍馬からの手紙(恋文)」を書くことだった由。社の内外に「自分が龍馬になったつもりで「恋文」を書いてください」と呼びかけ、およそ200点ほど集まった応募作の中から、人気投票によって決まったのが、製品化された4作品だったということです。

 2010年1月のドラマの放送開始に合わせて販売を始め、現在、高知県内や龍馬ゆかりの長崎県の観光みやげ品売り場などを中心に販売されており、そのユニークさ、おもしろさもあって、旅の記念に、またプレゼント用などに、人気は上々だとのことです。

 文面は、まず龍馬が「おー 今日も待ちよったぜよ、まあ、ゆっくりしていきや」とトイレで迎え、そのあと利用者へのメッセージがあり、最後は

悩みがあるがか?  悩みがあるのか?
何でもゆーたらえいがよ  何でも言ったらいいよ
ここには誰もおらんき  ここには(他に)誰もいないから
ほんで 後は水に流したら  そして 後は(すべて)水に流したら
えいがやき  いいんだから

と励ます内容の文面4連が、連綿と繰り返されています。参考までに、共通語訳を付けておきます。

 全部を読むと、個室での人生相談の趣きがあります。「恋文」というよりも、龍馬からの「人生の応援歌、処世訓、激励」といったほうがいいでしょうか……?

 この手紙のおおむね2連ごとに点線状の切れ目が入っています。
 そのように、人生の悩みにも適宜ふんぎりをつけ、うまく切り離されたトイレットペーパーといっしょに、不運や憤懣はすっきり水に流して解消できるといいですねぇ……。

《参考》「望月製紙」のホームページは、http://www.soft1010.com/company/index.html を参照。

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
 大分大学 教育福祉科学部 教授(国語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと、“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986)、「宮崎県における方言グッズ」(1991)、「「~されてください」考」(1996)、「方言の有効活用」(1996)、「医療・福祉と方言学」(2002)、「方言によるネーミング」(2005)、「福祉社会と方言の役割」(2007)など。

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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。

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地域語の経済と社会 第112回 北アイルランドの方言みやげ

2010年 8月 14日 土曜日 筆者: 井上 史雄

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第112回「北アイルランドの方言みやげ」
Dialect souvenirs of Northern Ireland

 第107回のスコットランドの方言についての補いですが、スコットランドの方言ではwikipediaも作られています。方言版wikipediaは珍しいです。つづりが標準英語と違いますから、解読にチャレンジしてみてください。
 http://sco.wikipedia.org/wiki/

【写真 北アイルランドの方言絵はがき】
【写真 北アイルランドの方言絵はがき】
(クリックで拡大します)

 前回はスコットランドの方言の写真は載せず、代わりにTシャツの写真を載せました。実は北アイルランドのベルファストのK教授のおみやげです。国際会議でちょっとしたジョークを交わしたのがきっかけで親しくなり、次の会で会ったときに現物をいただいたのです。そのときに、北アイルランドの方言絵はがきもいただきました。

 Beefed to the oxters (slightly overweight)
 と書いてあります。
 Oxterというのは「わきの下」armpitで、英国北部(北イングランド、スコットランド、北アイルランド)とアイルランドで使われています。Beef は動詞で、「(牛を)太らせる」の意味から、「増強する」などの意味に変わったようです。つまり「わきの下まで肉付きがいい」というひゆ的な方言表現なのです。絵に哺乳瓶が見えますから、若いお母さんなのでしょう。( )の中の英語は「ちょっと太りすぎ」ですが、「ちょっと」どころか堂々たる体格です。

 スコットランドと北アイルランドの英語は、イングランドからのちに広がったので、よく似ています。アイルランドは、20世紀はじめにイギリスから独立したのですが、北アイルランドは、イギリスに残りました。それがかつてのアイルランド紛争の原因だったのです。ことばが似ていても仲間意識は生まれないようです。

 数年前にアイルランドの首都ダブリンに行ったときに、英語の方言みやげや方言表示を探したのですが、見当たりませんでした。今回インターネットで検索しても、成功しませんでした。英語はアイルランドの本来の言語ではないので、英語の方言みやげは売れないのかもしれません。

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『社会方言学論考―新方言の基盤』『日本語ウォッチング』井上史雄(いのうえ・ふみお)
明海大学外国語学部教授。博士(文学)。専門は、社会言語学・方言学。研究テーマは、現代の「新方言」、方言イメージ、言語の市場価値など。
履歴・業績 http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/inouef/
英語論文 http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/affil/person/inoue_fumio/ 
「新方言」の唱導とその一連の研究に対して、第13回金田一京助博士記念賞を受賞。著書に『日本語ウォッチング』(岩波新書)『変わる方言 動く標準語』(ちくま新書)、『日本語の値段』(大修館)、『言語楽さんぽ』『計量的方言区画』『社会方言学論考―新方言の基盤』(以上、明治書院)、『辞典〈新しい日本語〉』(共著、東洋書林)などがある。

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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
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地域語の経済と社会 第111回 方言メッセージで大観光キャンペーン

2010年 8月 7日 土曜日 筆者: 田中 宣廣

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第111回「方言メッセージで大観光キャンペーン」

 日本の国宝第1号は岩手県にあります。平泉の中尊寺金色堂です。奥州藤原氏四代(清衡,基衡,秀衡,泰衡)の墓所・廟所でもあり,深い仏教的思想のもとに建立された文化財です。松尾芭蕉の『奥の細道』に「五月雨の降り残してや光堂」と詠まれるなど,古くから広く知られています。

【写真1 キャンペーンのポスター】
【写真1 キャンペーンのポスター】
(クリックで全3種を拡大表示)
【写真2 昨年のわんこきょうだいと「おでんせ」】
【写真2 昨年のわんこきょうだいと「おでんせ」】
【写真3 方言メッセージの部分】
【写真3 方言メッセージの部分】
(クリックで全3種を拡大表示)

 岩手県では,この金色堂を含む寺院群の「世界文化遺産」への登録を目指しています。この夏も,昨年と同期間7月1日から9月30日まで「いわて・平泉 観光キャンペーン」を大規模に展開しています。

 広告方法は,ネットでの案内http://www.iwatetabi.jp/cp/index.php,パンフレットやグッズの配布のほか,ポスター【写真1】3種類の掲示などです。

 わんこそばのキャラクター,5(人)の「わんこきょうだい」【写真2(2009年版)】が,このキャンペーンで活躍しています。http://www.iwatetabi.jp/wanko/

 今年は,ポスターに長い文章の方言メッセージを入れました【写真3】。共通語訳なしでもある程度意味が伝わるように,共通語の表現や漢字を入れるなどの工夫もあります。

 ポスターの方言メッセージを紹介します。ここで『タイトル』のみ共通語訳を付けます。“ / ”はポスターでの改行箇所です。

(緑)じゃじゃ どでんした (あらあら おどろいた)
むがすむがす平泉にはな / 黄金文化が栄えでいだんだど。 / ほがにもいわでにはな, / 縄文の遺跡だの,神楽だの,昔話だの, / 歴史の浪漫や伝統文化があふれでんのす。 / むがすのものを大事にしてきたがらな。 / いわでも,ながながたいしたもんだよ。

(赤)まんず おあげんせ(まあまあ めしあがってください)
いわではな,まんず / うんめぇのぁいっぺあっから / とびぎり新鮮な海の幸だべ,
お日さんの恵みをまんまんど受げだ / 山の幸や里の幸も絶品だ。 / おらほ自慢のいわでの味を, / 腹いっぺぇ,おあげんせ。

(青)『たいした いいながめだ』(とても,いいながめだ)
いわてはな,どこさいっても / ためいぎでるよな眺めさ会えっから / 海だの,山だの,高原だの, / なんもかんも,きれいだがら / いわでさ来たら,うんめぇ空気吸って / のーんびりしでげばいいんだ / まんず,いわでさあべ。

 まんず,いわでさおでってくたせんせ。

 みやごでゃーば,なずも,すずすごぜぁんすー。

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言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
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『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』田中宣廣(たなか・のぶひろ)
 岩手県立大学 宮古短期大学部 准教授。博士(文学)。日本語の,アクセント構造の研究を中心に,地域の自然言語の実態を捉え,その構造や使用者の意識,また,形成過程について考察している。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。著書『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』(おうふう),『近代日本方言資料[郡誌編]』全8巻(共編著,港の人)など。2006年,『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』により,第34回金田一京助博士記念賞受賞。『Marquis Who’s Who in the World』(マークイズ世界著名人名鑑)掲載。

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地域語の経済と社会 第110回

2010年 7月 31日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫

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第110回「「おまんた」は不滅です(新潟県糸魚川市)」

 東京在住の新潟県糸魚川市出身の方々で組織する「東京おまんた会」が、2007年から「東京糸魚川会」となりました。その会誌名も、『東京おまんた会々誌』から『東京糸魚川会々誌』へと衣替えされました。

【銘菓 糸魚川 おまんた】
【銘菓 糸魚川 おまんた】

 名称変更の理由として、「おまんた」があまり使われない、歌手・三波春男さん(長岡市出身)の「おまんた囃子」も若い世代は知らない、などが挙げられています(会誌31号)。

 とはいえ、地元では、「ふれあい夕市 おまんた市」(糸魚川駅前・毎週木曜)をはじめ、夏祭り「糸魚川おまんた祭り」等で、「おまんた」が愛用されています。

 さらに、この一品です。「銘菓 糸魚川 おまんた」(御菓子司 三好屋(糸魚川市寺町)製造)
  糸魚川地方の方言「おまんた」にたくした銘菓
  マロやかな味とソフトな舌ざわり
と菓子折に添えられた解説用紙にあるとおりの味で、観光土産としてはもちろん、地元の方にもたいへん好まれているお菓子だそうです。

 方言の解説が後になりましたが、「おまんた」は、「おまん[=あなた]」の複数形で、あなたがたを意味します。ともに、敬意と親愛がこめられた表現です。

 新潟弁ノンネイティブの者にも、なんとも言えない温かな雰囲気を感じさせる「おまんた」。いつまでも大切にしてほしいですね。

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 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
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大橋敦夫先生監修の本大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。

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地域語の経済と社会 第109回

2010年 7月 24日 土曜日 筆者: 山下 暁美

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第109回「おいしい方言(和歌山県)」

 今回は、和歌山県田辺市周辺で集めた味覚に関する景観方言(街角で見つけた方言)を中心にお話します。

【写真1】「こいはうまい!」 【写真2】あがら丼
左:【写真1】「こいはうまい!」
右:【写真2】あがら丼

 【写真1】は、伊賀忍者の装束をした“たなべぇ”がほっぺたにごはんつぶがついているのもかまわず、「こいはうまい!」(これはおいしい!)とあがら丼を食べています。

 「あがら丼」【写真2】の「あがら」とは、「わたしたち」という意味です。「わたしたちの自慢の丼」という意味で、名付けられたそうです。自分のことを「あが」と言います。一人称の代名詞「吾」に助詞「が」がついた形です。「田辺へ来たらあがら丼を食べな、あかんど」(紀伊田辺に来たらわたしたちの自慢の丼をぜひ食べてくださいね)と地元の人が勧めていました。「食べな、あかんど」は、直訳すると「食べないといけませんよ」です。「あかんど」の“ん”は、中部地方から沖縄まで分布する少し強い否定の「~ない」です。「もう、話さん」「あがは、知らん」などと言います。

【写真3】「肉がええか?」 【写真4】「にが! うま! 大人味。」
左:【写真3】「肉がええか?」
右:【写真4】「にが! うま! 大人味。」

 「魚にするか、肉がええか?」【写真3 魚にしますか、肉がいいですか】は、海の幸、山の幸、どちらも味わいのある特産品であることをアピールしています。「ええか」(いいか)は、関西方言です。勝浦町のほうに行くと「ええにおいのし」(いいにおいですね)などと言います。「のし」(~ですね)は、文末につける丁寧なことばで、21世紀に残したい和歌山のことば10に入っています。

 「にが! うま! 大人味。」【写真4 にがい! うまい! 大人味。】は、大阪府、三重県などにも見られる表現で、「にがい!」「うまい!」の“い”を省略した表現です。「あま!」(甘い!)「いた!」(痛い!)など、そのときの感覚をインパクトを持って伝えます。

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明海大学外国語学部・大学院応用言語学研究科教授。博士(学術)。
専門は、日本語教育学・社会言語学。研究テーマは、移民百年を迎えた、ブラジル、アメリカ合衆国などにおける日本語の変化、外国人の日本定住化による共生時代の日本語教育政策。
著書に『書き込み式でよくわかる日本語教育文法講義ノート』(共著、アルク)、『海外の日本語の新しい言語秩序』(単著、三元社)、『スキルアップ文章表現』(共著、おうふう)、『スキルアップ日本語表現』(単著、おうふう)、『解説日本語教育史年表(Excel 年表データ付)』(単著、国書刊行会)、『ふしぎびっくり語源博物館4 歴史・芸能・遊びのことば』(共著、ほるぷ出版)などがある。

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方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。

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地域語の経済と社会 第108回

2010年 7月 17日 土曜日 筆者: 日高 貢一郎

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第108回 大分のローカルヒーロー「PCO」

 現在、全国各地で、地域にねざしたローカルヒーローが登場し、祭りやイベントなどに出演して地元の人たちに愛され、活躍しています。(この連載シリーズの第26回「方言キャラクター」も参照)

 大分にも「パワーシティオーイタ」(略称、PCO)というローカルヒーローがおり、その仲間やライバル(敵)などとしてすでに40体を制作。その中には方言で名前がつけられたキャラクターもいます。

【写真1】パワーシティオーイタ
【写真1】パワーシティオーイタ

 このPCOを生み出したのは、H.A.C.(HEROS ATTRACTION CREATIVE)というグループで、2000年にヒーロー好きのメンバーが集まって発足しました。
 キャラクターショーを中心とした様々なボランティア活動を展開し、「元気ある大分」をアピールしようと活動しています。

 主なキャラクターと、大分の方言にちなんだ名前の登場人物や技などを挙げましょう。

 ホームページによると「PCOは、大分を愛するみんなの心が集まって発生したエネルギー体「キョードアイ」が大分の為に頑張る人に宿り誕生したスーパーヒーローで、必殺技の「真羅神拳(しらしんけん)」は大分のみんなの「しらしんけん」な心を体に集中させて敵に叩き込む。大分の平和を乱すどんな困難な敵も打ち砕く」とあります。
 「しらしんけん」は大分の方言で、〔一生懸命に〕の意味で広く使われています。

【写真2】敵役のダークシティオーイタ
【写真2】敵役のダークシティオーイタ

 PCOの最大の敵、永遠のライバルは、大分の悪い心が合体して誕生した「ダークシティオーイタ」(略称、DCO)で、大分の特産物をダークチェンジさせることで怪人に変えてしまい(例:後述のカサワクドン)、大分を悪の心で満たそうとたくらんでいます。

 「蒼邪拳(そうじゃけん)」は彼の繰り出す必殺技。PCOの真羅神拳に匹敵する非常に強力なパワーを持っています。「そうじゃけん」〔そうだから〕という大分弁に由来します。

 悪役の1人「ジョーカーレイ」が繰り出す光線技が「EBC(イービーシー)」で、大分弁の「いびしい」〔古語「いぶせし」の変化した語。気味が悪い、ゾッとする、汚らしい〕にちなんでの命名。EBCとはイビル・ブースト・セルの略で、悪意増幅細胞(あくいぞうふくさいぼう)という細胞を敵に植え込み「悪い心」にさせるという恐ろしい技です。

 「ハニーレディオーイタ」は、PCOの仲間のヒロインです。その得意技は「レディシャーネンカー」で、大分弁の「しゃーねーんか」〔仕方ないのか〕に由来し、傷ついた体や体力を回復させる能力を持っています。

【写真3】ショックン(左)とパックン(右)
【写真3】ショックン(左)とパックン(右)
(以上、写真提供:H.A.C.)

 大分の(自称)ヒーローに「ショックン」と「パックン」がいます。田舎から出てきたカエルタイプの2人組で、大分弁でカエルを意味する「ショックン、バックン」に由来します。(方言ではバックン(Ba-)ですが、ヒーローの名前はパックン(Pa-)です)

 その他にも、悪役に「カサワクドン」がいますが、実は先のパックンがダークシティオーイタの手によって怪人に変えられた姿です。
 カサワクドンは、大分弁の〔ヒキガエル〕を意味する「カサワクド」に由来します。
 シイタケ怪人「ナバロン」は、大分の名産〔しいたけ〕の方言「ナバ」に由来します。

 こんなふうに、地元・大分の方言にちなんで命名することによって、見る人たちに、よりいっそう親近感を持ってもらいたいという、H.A.C.のメンバーの思いが伝わってきます。

《参考》「パワーシティオーイタ」の公式ホームページは、http://pcoxhac.web.fc2.com/
NHK大分放送局のテレビ番組「ししまるテレビ」(平成22年2月5日(金)放送)の中で、PCOのファンの子供たちが、ショーに出てくるキャラクターや技の名前で大分の方言を知り、方言を見直すきっかけになっていることが紹介されました。
※ 実は「ししまるテレビ」は「んけん、まるごと、大分を取り上げるテレビ」という番組のねらいを縮めた語だそうで、これも方言にちなんだ命名です。
 また『大分合同新聞』平成22年3月20日(土)夕刊1面でも、PCOのことが大きく取り上げられました。

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

日高貢一郎(ひだか・こういちろう)
 大分大学 教育福祉科学部 教授(国語学・方言学) 宮崎県出身。これまであまり他の研究者が取り上げなかったような分野やテーマを開拓したいと、“すき間産業のフロンティア”をめざす。「マスコミにおける方言の実態」(1986)、「宮崎県における方言グッズ」(1991)、「「~されてください」考」(1996)、「方言の有効活用」(1996)、「医療・福祉と方言学」(2002)、「方言によるネーミング」(2005)、「福祉社会と方言の役割」(2007)など。

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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。

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この連載への質問、また「ここでこんな方言みやげ・グッズを見た」などの情報は、問い合わせフォーム( http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/support/question.html )から、「地域語の経済と社会」への質問・情報である旨を記してご投稿ください。


地域語の経済と社会 第107回

2010年 7月 10日 土曜日 筆者: 井上 史雄

地域語の経済と社会―方言みやげ・グッズとその周辺―
第107回「スコットランドの英語方言と赤いヒース」
English dialect in Scotland and red heath

 1990年イギリス滞在中に、イギリス各地の方言についての資料を集めました。スコットランド方言のカセットテープが目についたので、発行元Scotsounを訪問することにしました。尋ねあてたら、住宅地の一角の個人の家でした。いろいろ話をうかがい、「経済的に成り立ちますか」と尋ねたら、「興味深い質問です」と答え、具体的な説明をしませんでした。個人の資金をつぎ込んでいるだろうと判断しました。

 お別れの記念にヒースの赤い花をくれました。『嵐が丘』でも登場するヒースの花は、実物を確かめたかったのですが、もう季節を過ぎていて、車窓からは見えませんでした。単純に喜んで、ありがたく頂戴し、「赤いヒースは珍しい。大事に飾る」と言ったら、説明してくれました。赤いヒースを手にした人はもう一度その地を訪れることになるそうです。でもその後スコットランドに足を伸ばす機会はありませんでした。

 今インターネットでScotsounを検索すると、組織は大きくなり、Scots Language Societyのホームページ(Hame Page)の中にあります。ScotsounはScot soundの方言風のつづりです。解説文のつづりもスコットランド英語を写しています。
   http://www.lallans.co.uk/audio_cds.html

 たくさんのCDが出て、しかもマークのあるCDをクリックすると、スコットランド方言の音声が聞けます。例えば下のページです。
   Largo by Sydney Goodsir Smith, read by Neil MacCallum (from SSC 142)
   http://www.lallans.co.uk/sscd%20069%20-%20Lang%20Syne%20in%20the%20East%20Neuk.html

 Scotsounのホームページの中に人物写真がありました。その人に見覚えがあります。20年後にインターネット経由でその地を訪れたわけです。一方的ですが……。

 ちなみに、スコットランドの方言みやげも、Googleで“Scottish dialect”と入力して「画像」をクリックすると、実例が見られます。ティータオル、コースター、マグカップ、エプロンなど色々あります。

 スコットランドの方言グッズは手元に適切なものがないので、代わりに北アイルランド、ベルファストのTシャツをお目にかけます。全体と拡大版です。

北アイルランド、ベルファストのTシャツ 北アイルランド、ベルファストのTシャツ イラスト部分の拡大

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【筆者プロフィール】

言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
(言語経済学や当研究会については,このシリーズの第1回後半部をご参照ください)

『社会方言学論考―新方言の基盤』『日本語ウォッチング』井上史雄(いのうえ・ふみお)
明海大学外国語学部教授。博士(文学)。専門は、社会言語学・方言学。研究テーマは、現代の「新方言」、方言イメージ、言語の市場価値など。
履歴・業績 http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/inouef/
英語論文 http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/affil/person/inoue_fumio/ 
「新方言」の唱導とその一連の研究に対して、第13回金田一京助博士記念賞を受賞。著書に『日本語ウォッチング』(岩波新書)『変わる方言 動く標準語』(ちくま新書)、『日本語の値段』(大修館)、『言語楽さんぽ』『計量的方言区画』『社会方言学論考―新方言の基盤』(以上、明治書院)、『辞典〈新しい日本語〉』(共著、東洋書林)などがある。

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【編集部から】
皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
方言みやげやグッズから見えてくる、「地域語の経済と社会」とは。方言研究の第一線でご活躍中の先生方によるリレー連載の始まりです。

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地域語の経済と社会 第106回

2010年 7月 3日 土曜日 筆者: 田中 宣廣

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第106回「『方言』と『しゃれ』のコラボ」

 北国の北海道は涼しいはずですが,先月6月のおしまい,北海道の暑さはすさまじいものでした。特に26日には30年ぶりの記録更新となる足寄の37.1℃をはじめ,帯広,北見など15地点で最高気温35℃以上の「猛暑日」を記録しました。

 これで思い出したのが,今から十数年前の夏のことです。1997年7月末,北日本は連日の猛暑に襲われました。そのときの『北海道新聞』の大見出しが「あついっ暑」でした。北海道方言の代表のような,確認の「―ッショ」と「暑」が掛けられているのは,北海道の人ならすぐに分かりますね。

 今回は,このように,『方言』と『しゃれ』を併せて使用した方言の有効活用例を取り上げます。

【写真1】じっ茶ばっ茶
【写真1】じっ茶ばっ茶
(クリックで全体を表示)

 岩手県の方言で,おじいさんを「ジッチャ」,おばあさんを「バッチャ」と呼ぶ地域があります。北部で優勢のようです。

 これを,ペットボトルのお茶の名にした商品が,岩手県岩泉町の株式会社岩泉産業開発から発売されています。その名も「じっ茶ばっ茶」【写真1】です。内容は,岩手県産の豆や雑穀を焙煎した烏龍茶です。

【写真2】いずこ…えずこ
【写真2】いずこ…えずこ

 もう一つ,第13回で紹介されている,宮城県の「えずこホール」の関連です。これ自体は施設名の方言ネーミングで,第13回で紹介された例の他にも多数あり,最近では特に珍しくはないものです。

 このホールの『方言』と『しゃれ』は,ホールの紙のパンフレットにある「いずこの人も えずこに来たれ。」のメッセージ【写真2】です。このホールを活動の場にしている多くの住民創造グループへの参加募集のメッセージで,第13回でもリンクしているインターネットの案内には認められないものです。

 また,第43回の「自転車を『降りチャリ、押しチャリ』」も,『方言』と『しゃれ』による,方言看板・ポスター類ですね。

 沖縄県那覇市に「ニーフェーデービル」(那覇の方言で「ありがとう」の意)という名のビル(建物)があるという情報も戴いています。これについては現在確認中です。

 皆さん,言語の商業的利用には,こういう「楽しみ」もあります。

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言語経済学研究会 The Society for Econolinguistics
 井上史雄大橋敦夫田中宣廣日高貢一郎山下暁美(五十音順)の5名。日本各地また世界各国における言語の商業的利用や拡張活用について調査分析し,言語経済学の構築と理論発展を進めている。
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『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』田中宣廣(たなか・のぶひろ)
 岩手県立大学 宮古短期大学部 准教授。博士(文学)。日本語の,アクセント構造の研究を中心に,地域の自然言語の実態を捉え,その構造や使用者の意識,また,形成過程について考察している。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。著書『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』(おうふう),『近代日本方言資料[郡誌編]』全8巻(共編著,港の人)など。2006年,『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』により,第34回金田一京助博士記念賞受賞。『Marquis Who’s Who in the World』(マークイズ世界著名人名鑑)掲載。

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皆さんもどこかで見たことがあるであろう、方言の書かれた湯のみ茶碗やのれんや手ぬぐい……。方言もあまり聞かれなくなってきた(と多くの方が思っている)昨今、それらは味のあるもの、懐かしいにおいがするものとして受け取られているのではないでしょうか。
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地域語の経済と社会 第105回

2010年 6月 26日 土曜日 筆者: 大橋 敦夫

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第105回「魚沼方言かるた(新潟県魚沼市)」

 魚沼市文化協会は、昨年、設立10周年記念として、「魚沼方言かるた」の作製を企画。市民から応募のあった2818句から45句を選び、同地方の風土や方言をあしらった札がそろいました。

【魚沼方言かるた】 【魚沼方言かるた】
(画像はクリックで拡大表示)

「あ」……足半[あしなか=わらぞうりの一種]と ふうこうかぶり[=頬かぶり]で 盆踊り
「い」……んまげだの[=おいしそうだのう] 炊きたてまんま コシヒカリ

 取り札の表は、画家・田中博之さん(魚沼市特使)の絵、その裏には、句と解説が付いています。

 また、読み句のCDに、さらにもう一枚「魚沼の昔ばなし」のCDが付き、「狐火事」(堀之内)「まぼろしの鮭」(小出)ほか計6話が収められています。読み手・語りとも、魚沼昔ばなしの会の皆さんが担当。方言を中心に、魚沼地域の民俗文化の継承を願う気持ちが伝わってきます。

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大橋敦夫先生監修の本大橋敦夫(おおはし・あつお)
上田女子短期大学総合文化学科教授。上智大学国文学科、同大学院国文学博士課程単位取得退学。
専攻は国語史。近代日本語の歴史に興味を持ち、「外から見た日本語」の特質をテーマに、日本語教育に取り組む。共著に『新版文章構成法』(東海大学出版会)、監修したものに『3日でわかる古典文学』(ダイヤモンド社)、『今さら聞けない! 正しい日本語の使い方【総まとめ編】』(永岡書店)がある。

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